第63話:出稽古は海、カツオハント!
「ジャスティン様、ロック解除して宜しいでしょうか?」
「ちょ、止めてマジで! コンプラ!」
「コンプラも天ぷらもありませんよ~~♪」
朝からテントの外で手四つになる、ソレイユとジャスティン。
神の世界、神界の一つに修業に来たジャスティン。
彼は今、己の色欲を理性で抑える地獄の精神修行に耐えていた。
「愛し合う二人が結ばれて子ができるのは問題なしですよ♪」
ソレイユの言う通り、ジャスティンも思っている。
ソレイユとは魂でリンクしているのでバレてる。
「だから、魔法大学に進学したらな? まだ婚姻可能年齢じゃねえ!」
だがジャスティンは、遵法精神はそこそこ高めだった。
勇者たる者、世間体は気にしないとまずい。
売り手良し、買い手良し、世間良しの三方良しが大事だ。
世間は敵に回すと面倒臭い。
「神的には、勇者にした時点で夫婦ですから♪」
「神社会ではそうでも、人社会がややこしいんだよ!」
人間社会を抜け出せば良いのだが、人の世には捨てられない物が数多くある。
ジャスティンは、人の世も神の世もどちらの暮らしも失いたくはなかった。
そな彼の想いを知りつつも、ソレイユはジャスティンが自分を強く意識した時から攻めに出ていた。
ジャスティンは、そんなソレイユの誘惑に耐えて己の色欲を魔力に変えていた。
「取り敢えず今は神気流し込むので我慢してくれ!」
「仕方ないですねえ、ガッツリいただきます♪」
ソレイユは微笑むと、必死な顔のジャスティンから金色の光りを吸い込む。
ジャスティンは、手四つの状態でバランスを崩して膝をついた。
「ふう、満腹です♪」
ソレイユはジャスティンを起こす。
はた目からすれば犬も食わないバトルが終わった。
「ああ、どうにか理性は守れた」
「ジャスティン様も、本能開放してもよろしいんですよ?」
「世界の平和守って大学進学したらで、その方がモチベになるから」
「なるほど、わかります♪」
「それと、家庭作るなら邪魔が入らない時にしたい」
両親が戦争に行き、家庭が壊れたジャスティンだからこその気持ち。
「ええ、邪魔する奴らを撃退する労力も全部イチャイチャに回したいですよね♪」
ソレイユもジャスティンから自分への愛情が伝わって来る。
わかるわかるとうなずき、彼の言葉を肯定する。
「そう言うわけで決戦では多分、一緒に戦ってもらわないと勝てないから頼む」
「お任せ下さい♪ その願い、あなたの女神として叶えて見せましょう♪」
ソレイユが胸を張る。
彼女のその様子にジャスティンは安堵した。
「ささ、減った分はこのトウモロコシを食べて回復しましょう♪」
「うお、なんだよこの棍棒サイズのトウモロコシ!」
鈍器にも使えそうな、太く巨大なトウモロコシを渡されるジャスティン。
ソレイユも同じ物を生み出し、頭部を豹の姿に変えて食べ出す。
「うん、トウモロコシ美味え♪ 学園祭で焼きトウモロコシを売ろう♪」
「良いですねえ、トウモロコシのような甘い生活の為に頑張りましょう♪」
ソレイユとトウモロコシを食う、ジャスティン。
回復したジャスティンはソレイユと立ち、今日の鍛錬をこなそうと体を伸ばす。。
「さて、じゃあ今日はどんあ神獣を狩って食おうか?」
「そうですねえ、まだ食べていない物と言えば?」
サンバードソードを右手に装備し天に掲げつつ笑顔で問いかけるジャスティン。
「ウホ、良い笑顔♪ とと、別の地域に出稽古で行きましょうか?」
「あれか、水の属性の海地域で魚でも取りに行くか?」
「良いですね、カツオと言う海の神獣がおりまして♪」
「いや、それは普通に魚では?」
「神獣のカツオは強さも味も段違いです!」
「よっしゃ、じゃあ行こうぜ♪」
ジャスティンは即座にサンバードフェイスに変身、ソレイユを抱き上げ飛び立つ。
「うひょ~~~~~♪ 私、正ヒロインですよ~~♪」
「いや、誰に告知してるんだ!」
「神界全てに、私達が番だ~~~♪」
「いや、こっぱずかしいわ!」
草原を越えて見えてきた海岸に着地する二人。
波が唸り潮風が漂う海岸は夏の海のようだった。
「よっしゃ、行くぜ海の神獣達♪」
剣を八相に構え、背中の翼を広げて海へと突進するサンバードフェイス。
「釣果をおまちしておりますよ~♪」
ソレイユは海岸から手を振り見送った。
「うごっ! 海だと圧で負荷がかかるな!」
勢いよく海に突撃し、海中の水圧に動きが止まる。
そんな彼の真横を閃光が突っ切った!
通過の際の衝撃波を耐えつつ剣を構え、立ち泳ぎ状態で警戒する。
「ち、今のはもしやマグロか?」
神眼に一瞬だけ見えたマグロの文字、マグロも美味かった。
「魚達はどいうも海だと矢よりも早いな、受けや回避の鍛錬に丁度いい!」
自分に向かい襲い来る魚達の猛攻を必死に回避するサンバードフェイス。
いくつかの魚が背中の翼に触れては切り身に変わる。
まき散らされた血は、新たな敵を呼ぶ。
海底に光る赤い目、血の臭いに誘われて巨大な鮫型の神獣が現れた。
「海と言えば鮫か、何か包丁みたいな頭だが不足なし!」
頭部が刀のように尖っった巨大鮫がサンバードフェイスに襲い掛かる。
「デカい剣が来るだけだ、パリィ!」
突進して来る鮫ブレードシャークを、弾き返す。
だが、ブレードシャークも諦めない!
刀状の頭部を振るい、サンバードフェイスと海中でチャンバラを繰り広げる。
「この鮫、海の剣士か! 負けてられねえ、ファイヤーソード!」
剣に炎を灯すサンバードフェイス。
魔力と神気の合わさった炎は海でも消えない!
ブレードシャークは、体を縦回転させて襲い来る。
「同じ技はこっちも使える! ローリングサーキュラー!」
サンバードフェイスも縦回転で文字通り火の車となり突進!
ぶつかり合いを制したのはサンバードフェイス。
ブレードシャークは、海中で燃えつきた。
「……へ、良い勝負だったぜサメ野郎」
ブレードシャークを讃えて弔う。
ブレードシャークを倒したサンバードフェイスを脅威と認定した海の神獣達。
「よっしゃ、来やがれ魚共! 纏めて切り身にしてやる!」
啖呵を切り、襲い来る魚達と斬り合うサンバードフェイス。
カツオも含む海の神獣達とのぶつかり合いは、しばらく続いたのであった。
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