第14話 結界と逮捕劇とタコ神楽
しかしその最後尾には、長身の神父服姿、怪しげな笑みを浮かべるラスプーチンの姿もあった。
「いやあ、これは楽しみだな。日本の宗教文化、じっくり見学させてもらおうかね。」
一行に続き意気揚々と鳥居をくぐろうとしたラスプーチンだったが――
バチィン!
彼だけは障壁のような物に思いっきり弾かれ、地面に転がった。
「うぐっ……!?な、なんだ、この壁は……!」
目を見開くラスプーチン。
薄く光る半透明の巨大な海亀の甲羅のようなものが鳥居の前に浮かび上がっている。盾型の結界のようだ。
柔らかな女性の声が響く「我は亀甲の女神…盾の女神…この
何事もなく亀甲をすり抜けた
「そりゃ、あんたは入れたくないわな……」
寧々子も言う「自業自得だな。」
結界をバンバン叩くラスプーチンを放置して一行は大社内へと進んだ。
しかしラスプーチンは諦めなかった。
足早に神社を囲う生垣の横手へ回る。
「ふふふ……ロシアの荒野を旅したこのグレゴリー・ラスプーチン、低木の一つや二つ、恐るるに足らん――」
生垣に手を掛けるるラスプーチン。その瞬間――
バチッ!
今度は直径1m程の半透明の亀甲が現れその手を弾き返した。
「おのれ小癪な…」
ラスプーチンが亀甲結界に手を押し付けるとバチバチと霊力と妖力がスパークする。
「正門より盾が薄い!ようし、これなら…」
しかしその時、彼の頭上から警笛音と羽音が響いた。
バサァッ!!ピピーッ!
警官姿の烏天狗達が空から舞い降りた。
「
「いや、誤解だ!私はただ文化交流をだな……!」
「はい話は署で聴きまーす!来てださーい!」
「
ロシア語で叫びながら両腕を抱えられ、連行されていくラスプーチン。
生垣越し様子を見に来ていた蓮達
クレパトラがいう「つくづく自業自得ね……。」
和尚の頭骨が笑っているように見えた。
「人間、欲を制せぬうちはまだまだじゃなあ。」
蓮が即座にツッコむ。
「……あんたが言うなよ!」
奥へ進む一行の前にスミレと共にふんわりと現れたのは、和装の年上美女。長い黒髪、ゆるやかな口調。身にまとう衣には、光の角度で淡く浮かぶ亀甲の文様。彼女が
「まあまあ……ようこそ皆さん。今日はお越しくださって、本当に……本当にうれしいです……」
「とくに……この子が……スミレが、こんなに楽しそうに……」
スミレの笑顔を見るや否や、女神は涙ぐむ。
「寧々子さんも、クレオパトラさんも、蓮さんも……本当にありがとう。この子、ちょっと引っ込み思案だけれど、優しい子ですから……」
「お、おかあさん……泣きすぎ……っ」
困ったように顔を赤らめるスミレ。
だが、玳瑁女命はハンカチで目頭を押さえながら、なおも微笑む。
「今日はどうか、安心して楽しんでくださいね。亀甲結界は私が張っておりますので、よからぬ輩は一歩たりとも入れませんから……あのラスプーチンさんも、きっちり叩き出しましたので……うふふふ……」
その笑みの奥に、ほんのりと“母は強し”な神威が光った気がした。
一行はスミレの案内で演壇の前へと進む
「さあ、もうすぐ始まりますよ!」
夜の身鎮大社、静寂に包まれた境内に雅楽が響く――
……はずだったのだが。
確かに楽器は
さらに舞台中央、蛸津比売命は采帯(認識阻害された触手)を振りかざす、その動きは…
見事にオタ芸の動きそのもの。
ビシィ!クルッ!バシン!バシン!
「フゥーーー!」「オイ!オイ!」とオタ芸の掛け声が聞こえてきそうな勢いだ。
左右ではスミレを含む巫女たちがサイリウムを振っている。
蓮は顔を覆った。
「……完全にライブのノリじゃん……。これ巫女舞なのか……?」
そのとき、舞台脇で見守っていた大身病鎮命が、静かに、しかし満足気に笑みを浮かべた。
「ふふ……実に良い。若い男性の参拝客も取り込めます。」
寧々子とクレオパトラが思わずズコーッとずっこける。
「……そ、そっちなの!?」
「…ビジネス目線も神の視点……なの?。」
蛸津比売命はピースサインで決めポーズ。
「ハーイ!トキョーライブみたいでナイスでしょ?」
蓮は遠くの鳥居に向かって小さくつぶやいた。
「ま、この町らしいけどさあ……。」
https://kakuyomu.jp/users/xaren/news/16818792435605443062
6/29の近況ノートにて登場人物紹介とwhisk作成のメインキャラのイラストをアップしています。
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