敵組織
どこかに建っている石造りの建物。
その建物の廊下を、ラヴァを抱えた鎧が歩いていた。
そして、とある部屋の前で歩みを止める。
「いつもありがとう。ギガント」
自分を運んでくれた鎧を撫でながら、礼を言うラヴァ。
そして、目の前の扉をノックし、部屋に入る。
広くない部屋の中心には、円形のテーブルと、複数の椅子が置いてあった。
「ラヴァです。ただいま戻りました」
ラヴァは、ボスと呼ばれる人物に報告をする。
そして、空席に座った。
「よし、これで全員いるな……」
「はいボス。全員揃っています」
「よし。それじゃあ話を始める。まずラヴァ。今回の任務はどうだった?」
「完璧に成功しました。こちらが戦利品です」
ラヴァは、ポケットから宝石を取り出し、ボスに渡す。
「ボス。任務は成功したのですが、少しお伝えしたいことが......」
「......なんだ?」
ボスが訪ねる。
「任務中、学園の怪盗と戦闘しました。相手は四天王であるフェルノア、ラッティ。そして、ビヨンドという名の怪盗です」
席に座っている薄緑髪のポニーテールの人物が、ピクッと反応する。
「ほう。フェルノアとラッティと戦ったのか。それと、怪盗ビヨンド......。新たな四天王候補か?」
「いえ、ただの生徒かと......。それと、ボスの命令通り、私たちの目的を伝えておきました。しかし、本当に伝えてしまって良かったのですか?」
「問題ない。おそらく学園は今、私たちを倒すために準備を始めているだろう。お前らも準備を怠るなよ」
ボスと呼ばれている長い薄紫色の髪の女性が、部下たちへそう告げる。
「それと、シェド……」
「……なんだ」
シェドと呼ばれた黒いローブを纏った少女は、ボスと呼ばれている人物に返事をする。
「お前は家族を殺すことになるが、本当に問題ないのか?」
「......問題ない。それより、ボスこそ大丈夫なのか?」
テーブルに足を乗せるシェド。
「シェド。ボスの前だ。足を下ろせ」
シェドに注意するラヴァ。
「気にするなラヴァ。こいつはちゃんと仕事をこなしてくれてるんだ。このくらい許そう。それとシェド。私の場合、家族ではなくただの他人だ。殺すのを躊躇うはずがない」
「……そうか」
「とにかく、絶対に勝つぞ」
話が終わると、ボスは立ち上がり部屋を出て行った。
それに続き、ラヴァも部屋を出て行った。
「......ねぇ。どうしたの?」
薄桃色のポニーテールの赤いドレスを着ている左腕が無い少女が、隣に座っている薄緑色の長髪の人物の肩を揺らしながら聞く。
「......いえ、何でもありません。それよりノーティー。あなたはシェドみたいにあんな態度を取ったらダメですからね」
「私は大丈夫よ」
ノーティーはティーカップを手に取り、中に入った紅茶を飲む。
長髪の人物は、ポケットからハンカチを取り出し、ノーティーの口を拭う。
その対面側で、茶髪で短髪の筋骨隆々の大男が、腕を組みながらシェドのことを睨んでいた。
「しかしお前さんよぉ。本当に大丈夫か? もし、寝返ったりでもしたら容赦なくぶち殺すからな?」
「......問題ないとさっき言っただろ。お前は人語を理解できないのか?」
大男に怖気づもせず、返事をする。
「はぁ、クソガキが......」
大男はため息をつき、立ち上がる。
そして、部屋を出て行った。
「ではノーティ。私たちも行きましょう」
「えぇ。あ、そうだ! この前可愛いピアスを見つけたの! あなたに着けてもらいたいから、あとで私のお部屋に来て頂戴!」
「わかりました。ふふ、楽しみにしてますね」
長髪の人物は、微笑んで返事をした。
そして、長髪の人物とノーティは席を立ち、部屋から出た。
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