ビヨンドの師匠 その2
入学後、ビヨンドはランディと同じクラスに配属された。
「......ラフィ・ルアール。怪盗ビヨンドとして今後活躍するつもり」
クラスメイトへの挨拶は大雑把で、あっさりしたものだった。
当然、クラスでは孤立した。
だが、ビヨンドは特に気に留めていなかった。
そんな時、話しかけてきた生徒が一人。
「えーっと......。ビヨンドちゃんだっけ?」
その生徒こそ、ビヨンドの親友ランディだった。
「......何よ」
「えっ!? な、何って......」
ビヨンドの威圧感に怖気づいてしまい、口をモゴモゴさせる。
しかし、ランディは勇気を振り絞る。
「わ、私が先輩として怪盗の基礎を教えてあげる!」
「何? あんた優秀なの?」
「実は優秀......。どころか、留年生なんだよね......。えへへ」
ランディは少し恥ずかしそうにしながら笑う。
「なんだ。落ちこぼれじゃない」
「むー! 落ちこぼれでも、ビヨンドちゃんよりは今のところ優秀だよ! だから色々教えてあげる!」
「いいってば......」
「そんなこと言わないでよー。ほら、私の授業のメモ見せてあげるからー」
ランディは一方的にビヨンドの机の上にメモをばら撒いた。
これが、ビヨンドとランディの出会いだった。
それ以降、ランディはビヨンドに色々な知識を教えるようになった。
その成果があったのかはわからないが、授業で優秀な成果を出していった。
隠密、戦闘、逃走の全てにおいて上達していった。
それでもランディは妬ましく思うどころか、ビヨンドの成長の早さに感動していた。
そんなある日、ビヨンドの初任務の日が訪れた。
「ビヨンド。お前の初任務だ。今回は初めてだから、誰かとペアで挑んでもらう」
「はい! 私! 私が行きます!」
一人の生徒がすぐさま手を挙げた。
ランディだ。
「ランディ? 任務はお遊びじゃないって、お前もわかっているはずだが......」
「わかってます! でも、行かせてください! 私だって、将来有望なビヨンドちゃんと一緒に頑張って、前よりは成長したはずなんです! お願いします!」
教師は頭を抱え、悩む。
「......先生。私からもお願いします」
教師は驚いた。
ビヨンドが落ちこぼれのランディと任務に挑みたいという意志を見せたからだ。
「はぁ......。わかった。ビヨンドの実力に免じて許可してやろう。だが、命を落としても知らんぞ?」
「問題ないです。死ぬ気なんて一切ないので」
「それじゃ、これが今回の任務のメモだ。ターゲットは疾風の靴。しくじるなよ?」
「はい」
ビヨンドはメモを受け取ると、ランディの元へ歩いていく。
「......よろしくね」
そして、少し恥ずかしそうにしながらランディの目の前に手を差し出した。
そんなビヨンドを見て、ランディはとても喜んだ。
「うん! よろしくね!」
ランディはビヨンドの手を握った。
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