第29話 見つかってしまった。

「アンベス!!何というザマだ!馬鹿者!!」

アンベスは皇帝の怒号で起きた。

「ふぁっ!ハン…ハンナ!」

アンベスはまだ半分寝ぼけた状態だった。

「お前は一体、ここで何をしてるんだ。」

皇帝はこの部屋を見たら怒りが収まらなかった。

「おい、なぜ誰も居ないのだ。モンテスを呼べ。」

皇帝は直ぐにモンテスを呼んで確認した。

「申し訳ございません。リテ様に客人があると聞いておりましたので私がハンナ妃を中に入れてしまいました。私の不手際です。どんな罰も受け入れます。」

モンテスは言い訳は一切せずに皇帝に謝罪をした。その素直な態度が皇帝は気に入らなかった。

「ほう。誰から客人があると聞いていたのだ?」

皇帝は冷たく聞いた。

「はい。リテ様から本日、ハンナ妃が尋ねて来ると言われました。なのでお通ししました。」

皇帝の圧に怯むことなくモンテスは答えた。

「牢の門を開けるかどうかは私が決める事だ。お前が決める事ではない。明日、お前の処分を言い渡す。」

皇帝がそう言うとモンテスは他の兵士に捕らえられた。

「おい、バカ息子よ。本当はお前も処罰を与えたい所だが体裁が悪いので止めておく。今度、城の者達に示しがつかない事をしでかしたらただでは済まさないぞ。」

「申し訳ございません。皇帝。」

アンベスは震えながら膝まづいた。

「コット、ハンナを探せ。とりあえず、ここは出るぞ。ジメジメしていて気分が悪くなる。」

「はい……」

もうコットは皇帝の怒りに圧倒されていた。皇帝達は牢を出た。地下牢の長い廊下を歩き出口に近づいた時、皇帝が何かに気付いた。

「何だあれは?」

兵士がその物体を確認しに行った。

「騎士団長!?」

そこには動けなくなっているサーブルが居た。

「何!?サーブルだと!?」

皇帝はすぐさまサーブルに駆け寄った。サーブルは意識はあるが身体が動かせずにいる様だ。

「お前、ハンナをどこにやった。」

皇帝はサーブルに詰め寄った。サーブルはロスタル侯爵の魔法が効いていて何も話せないでいる。

「まさか、これはロスタル侯爵の魔法か?」

皇帝自身も同じ魔法にかかっていたので直ぐに気が付いた。

「おい、サーブル。お前までもあのハンナの美しさにほだされたか。だが残念だがロスタルにいい所は持っていかれた様だな。」

サーブルは皇帝を睨みつけた。

「お前もそんな反抗的な顔が出来るのか?ああ?生意気な態度を取りやがって!」

皇帝はそう言うとサーブルぼお腹を思いっ切り蹴った。

「グっ……」

声を出す事もままならないサーブルはうめき声を上げた。

「サーブルを独房に入れておけ。直ぐにでもモンテスと二人、処刑にしてやる。」

皇帝が兵士に命令し、動けないでいるサーブルを引っ張り独房へと連れて行った。


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