そして今日も道を訊かれる

アイス・アルジ

第1話 (序)通学路

 なぜか私は よくある事***** に、見ず知らず、通りすがりに 道を訊かれる******。最初にそう感じたのは中学の頃、最寄りの駅から連なった一団に混じりそぞろ、ゾロゾロと、すれ違う人はちらほらと、学校へ向かう歩道はいつものように。100mほど先では、学生の流れを避けるよう脇へ、こちらへ向かう数人が見て取れる。


 突然―― 道を訊かれる****** と感じた私。

 しかもその中の ある一人**** に、予感ではなく、当然の確信として。


 私は歩を進め、その人も歩を進め、学生らの通り過ぎる時。その人は不審な様子もなく、だんだんと近づいて、変わらず前を見る、いつもと同じ朝。

 ――そしてトウトウと、その横を通り過ぎようとした私。

 そしてその時。

「あの、すいません。 駅はこの方向でいいですか?」

 えっ、(四十代くらいの中年の婦人、どことなく都会の匂い)思わずに足を止めた。

「あ、はい、そうです」と答え、少し首を傾けた。

「そうですか、ありがとうございます」


 この通り、町の駅前、田舎なので唯一のメイン通り、国道に沿った通学路。隣の友は、少し先へ進んでは、こちらをクルリと振り返る。私は少し足早に追いついたかと――


 (あの人は、どうしてこの私***に訊いたのか? 駅はすぐそこに)結局はいつもと同じ、ほとんどと変わらない朝。いつものように向かう道。通学路、いつもの自分、ふと振り返る。自分とは反対側へ向く人の、遠ざかる後ろの姿。

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