『The End of Doll』J&トキヲ&午後日和

【序幕 The Opening Voice】


午後日和:

哀しい劇の裏舞台、幼気な少女が

たった一人で役を演じていたと


トキヲ:

立ち去れない座席の傍で、俺は言った

優しい世界には君が必要だと


J:

それでも求められる姿が、辛過ぎて…

空白の台本で、生きた過去の私よ


血に汚れた、冠を宝物と呼ぶわ。



【第一幕 The other me】


午後日和:

菫色の日々を送って、切ない愛を探してる

涙を流す幼い子、必死で抱き留めていた


J:

握った短剣は、時を刻まぬ秒針で

人形のように扱われる、狂人を胸に宿し


怒りさえも忘れたまま…



トキヲ:

灰色に生きる者達を、癒す手が俺に在るのなら

美しい少女を、苦しめる暗闇は何だろうか


J:

星に救いを求めて

小説で愛を問い掛ける、バカな子達が


終わらない為、続けた演劇を…



【第二幕 Monologue】


J:

惨劇は箱に、私を閉まった

垂れ幕の向こう側で、現実を忘れ


空想に生きる、彼等に何と言えばいいの


憎悪と、執着が未来を殺した

震える身体を突き飛ばし、笑う人々


ああ、もう神様は私を見捨てた

だから狂い嗤ってやるのよ、全部!


午後日和:

彼女に救いの手を…

私が差し出せる日、それだけを望んで



【第三幕 Manipulated Doll】


トキヲ:

世界に架ける、絆を培って

茨姫は、俺の理不尽で苦しんだ


J:

頭の悪い、ジョーカーは

崇高な志を掲げ、微笑む男に操られるのよ



午後日和:

みんなが、幸せに明日を迎えられる事

本当にそれだけを願っているのに…


J:

傷付ける事が、お決まりね

棘だらけ、スター気取った少年よ



【第四幕 Imaginary Doll】


トキヲ:

冷たくても、暖める為の炎は此処に在る

その言葉すらも、君を傷つけるのだろうか…


J:

うるさいわ…

好き勝手して、偽善者ぶった悪魔は、お前だ!



午後日和:

雪解けの三日月に、手を伸ばして

言葉遊びを、紡ぐ少女の涙に


J:

気付いたのは、私達だけだったの...?



【第五幕 To the Beloved ones】


トキヲ:

本当に描いた、世界はこれで良かったのか

見上げる、霙雪みぞれゆきと輝く星よ


俺に確かな答えをくれ…


ただ、純粋で幸せな箱庭を創った

怒りに満ちた、彼女の想い、受け止めて


俺はこの先を導き続けるから…


午後日和:

でも疲れた時は、少し

この場所で、休んで行ってね…



【第六幕 Confession】


J:

私だって、愛されたかった

終劇を迎えるまでの、残酷な日々を


生かさず殺さず、演じ切って

激痛に、絶叫もままならない、白昼夢


午後日和「私は孤独な夜が、怖いと泣いている」

トキヲ「俺は寂しさと恐怖で、涙を忘れた」


J:

誰かに気付いてほしい…!

異質なほどに、歪んでしまった


「私の?誰かの姿が…」



【第七幕 Mother and Girl】


午後日和:

震える身体に、そっと触れるよう

孤独に怯えて泣いてる、茨の少女を


優しい温もりと、いつか歌った子守唄で

守り続けたいと思うの…


J:

頬に触れる、優しい手を欲して

本当の私を見せられるのは、貴女だけと


初めて、安らかな夜を迎えた…



トキヲ:

俺の手が届く限り、彼女の幸せを

みんなの物語、その続きを願っているから…


J&トキヲ:

「今、新たな舞台の幕開けを…」

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