邪仙女様のやり直し!〜紅の悪女は翡翠の夜明けを請い願う〜
安崎依代@「比翼」漫画①1/29発売!
元
※
そして、今は対極に回ってしまったかつての同門の、同じ名前で
「
首筋を冷気が撫でたと思った瞬間、冷気は灼熱の痛みと化していた。一瞬遅れて麗麗の首筋から
ガシャンッと琅玕が床に落ちる音を、麗麗は衝撃として感知した。同じように床に叩き付けられるはずであった己の体が、泣きたくなるほど懐かしい熱に受け止められたことも。
「麗麗っ! ……麗麗っ!!」
麗麗の体を受け止めた
──変わらないわね、あんた。
そう願う一方で、二人が作り出す結末は、これ以外にありはしないとも分かりきってはいたけども。
「なぜお前が『紅の邪仙女』などと呼ばれなければならなかったんだっ!?」
きっと同じことを、翠熙も思っていたのだろう。
討伐軍の頭が
「なぜ私にお前を討たせるように仕向けたんだっ!?」
四年前まで男女の差はあれども同じ修行服を纏っていたのに、今は片や『救国の仙君』に相応しい鎧、片や『
──もう、戻れないね、あの頃には……
脳裏を
だが麗麗はその甘さを振り払う。
まだ己には、
「教えてくれ、麗麗っ!! 私はっ……! 私はお前のことを……っ!!」
麗麗は全ての力を左腕に集めると、伸ばした指先をそっと翠熙の唇に添えた。ハッと口をつぐんだ翠熙が自分の瞳を
『西の蔵 私の宝物庫 不正の証拠 全部ある』
たとえ声が出なくても、翠熙ならば唇の動きを読んで、麗麗が何を伝えようとしているのか理解してくれる。
その証拠に、翠熙は緩やかに目を
『あんたの敵 一掃できる』
その言葉だけで、麗麗がなぜ『琳王宮史上最悪の悪女』とまで呼ばれる存在となったのか、翠熙は全てを理解したのだろう。深い漆黒に
『これで玉座は あんたのもの』
「麗麗。麗麗、まさか、お前は」
『あんたが 王になれば 誰もあんたを 殺せない』
「琳王宮が、私を殺せないように……私を生かすためだけに、こんなことを……っ!!」
──『だけ』なんて、言うんじゃないわよ、バカ。私の人生の全てを賭けたっていうのに。
まだ唇を動かせたら、その文句を言ってやれただろう。だがもう、さすがの麗麗も限界だった。
ユルリと瞼が落ちていく。翠熙の悲痛な慟哭を捉えていた聴覚も、ゆったりと遠ざかっていった。
そんな中でも、自分を包んで離そうとしない温もりが、そこにある。
──あんたが、誰にも脅かされずに生きていける世界を、ようやくあんたに、渡してあげられた。
その上で、自分は最期の瞬間を、翠熙の腕の中で迎えられた。絶対に負けたくなかった好敵手で、同時に、伝えるつもりのなかった、片恋の相手の腕の中で。
そんな己には過ぎた幸せに、麗麗は満足の笑みを唇に刷いた。
高名な仙家の弟子であったにも関わらず、邪術を極め、琳王宮に潜り込み、暴虐の限りを尽くした『紅の邪仙女』
彼女は同輩であり、琳国第七皇子でもある『救国の仙君』
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