契約嫁の雑祓い

伊月ともや

序章 


 遥か昔からあらゆる作物が実る豊かな地として栄えてきた瑞穂皇国みずほすめらぎのくに、通称「皇国こうこく」が開国してから、早数十年。

 海の向こうの国々から様々な文化を取り入れたことで、皇国は新しくも華やかな時代を迎えていた。


 だが、今もなおこの国の人々を悩ませる存在がいた。


 人とは違い、摩訶不思議な力を扱う異形の者を「あやかし」と呼ぶ。

 害を成さない妖もいれば、作物を荒し、災いや病をもたらすもの、時には人に憑いたり、食おうと襲うものもいた。


 それゆえに、害悪な妖を祓うことを生業にしている者達もいた。

 彼らは呼び名が変わりつつもどの時代にも存在しており、今は「祓い屋」と呼ばれている。

 そして、それぞれの流派のもとで築いてきた独自の技を継承し、鍛え合っていた。


 ただ、開国と共に時代は変わり、妖祓いに関しては免許制度が取り入れられるようになったことで、これまで法外な依頼料を要求していた祓い屋は減っていった。



 それでも今もなお、周囲を気にして密かに仕事を頼みたい依頼者もおり、免許を持たずに妖祓いを行う違法な祓い屋は後を絶たないという──。

 

    

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