⑤:まさかの緊急事態です!
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生まれて初めてデートに誘われた、その週の日曜日。
私は、駅前で明智くんが来るのを待っていた。
今日の行き先は、電車を一回乗り継いだ先にある遊園地。
どこに行きたいかと聞かれて、「どこでもいい」と答えるのは失礼かと思ってとりあえず頭に浮かんだその場所を提案した。
着て行く服はもちろん迷った。
行き先の遊園地には、何を着て行くのが正解なんだろう。
よくわからないからとりあえずインターネットで調べたり、デート服を買いに街へ繰り出したりした。
結果、コーディネート等はよくわからないから、マネキンが着ている服を「一体買い」してしまった。
メイクはいつものスッピンじゃさすがにマズイかと思ったが、下手に慣れないことに手を出して失敗するのが怖かったから、今回だけ見送った。
行き先が遊園地だから、スカートはやめておいた方がいいかと思って今回は7分丈のパンツを選んだが、よくよく考えてみればデートなのだからスカートの方が良かったかな。
そう思いながら、不意に駅前の時計台に目を遣ると…時刻は11時過ぎ。
待ち合わせは11時だけど、明智くんの姿はまだない。
…何かあったのかな?
そう思ってスマホを開いてみるけど、明智くんからの連絡は特に来ていなかった。
…信号に引っかかって遅くなってるとか?
もう少しこのまま待ってみるか。
私はそう思うと、特にそれ以上の心配をすることはなくそのまま待ってみることにした。
…………
…………
それから、どのくらいの時間が経過しただろうか。
気が付けば、時計台の時刻は13時を過ぎていた。
未だにじっと駅前で待っているが、当の本人である明智くんは未だに来ていない。
さすがに遅すぎやしないか。
やっぱり明智くんの身に何かあったのではないか。
そう思いながら、落ち着きなくウロウロと駅前を行き来しながら…ぎこちなくも明智くんに電話をかけてみる。
……が、何度かけてみても繋がらない。
まさか、交通事故に遭ったとか?
怪我をして動けなくなってるとか?
急に風邪を引いて起き上がれないとか?
来る途中で厄介な集団に絡まれたりして、拉致されてるとか?
考えれば考えるほど物騒な思考になってしまって、私は余計に落ち着きがなくなってくる。
せめて短くてもいいから連絡を一つくらいは欲しいが、よほど余裕がないくらいの緊急事態に陥っているのだろうか。
何度かけてみても、スマホから聞こえてくるのは「ただ今電話に出ることが出来ません」の機械的な音声のみ。
明智くんの姿をキョロキョロと見渡して探しながら、私は思わず涙目になった。
「…明智くん…」
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