観測ログ47:報告と昇格

ヴォイドたち――“双律の剣”は、

およそ一週間ほど現地調査に同行した。


ライガの傷が動ける程度まで回復した頃、

国から正式な調査団が派遣され、入れ替わるように彼らは帰路につく。


帰りは調査団の馬車に同乗する形で王都へ戻り、

それから、すでに一ヶ月余りが経とうとしていた。


帰還した直後は、なかなか騒がしかった。


キャシーは飛び上がって喜び、

怪我をしていたライガの姿を見て泣き出し、

ヴォイドを質問攻めにして追いかけ回すセリオンは、

エリシアに雷を落とされていた。


国・ギルド・教会への正式な報告は、

ミニーとグラディオに一任さたが、今回も色々やらかした気がするので上手いこと誤魔化してくれることを願う。


そして、ヴォイドたちは徐々に日常へと戻っていった。


今では、

すっかり傷の癒えたライガが、ミアとクラリスを連れて依頼に出ているほどだ。


そんなある日。


事後処理に追われていたグラディオが、

珍しく夕食の時間にミニーを連れて食堂に姿を現した。


「ちょうど、全員揃っているな」


そう言って席に着く。


「食べながらでいい。

前回の依頼について、正式な調査結果が出た」


その一言で、場の空気が引き締まる。


「詳しいことは、私から説明するわね」


ミニーが引き継いだ。


「まず、“王鍵”についてだけど――

あれは不完全な偽物だったそうよ」


「え?

でも、別次元の空間を作り出してただろ?」


カイルが眉をひそめる。


「ええ。だから完全な偽物とも言えないの。

本物の“王鍵”は、別次元空間を作り出すだけじゃなく、

“支配する”ためのものなんですって」


「だから、ゴブリンキングを制御できなかったのか!」


「……なるほど。

スペアの方じゃな」


シュレイが小さく呟く。

何か知っているようだった。


「で、魔道具の方だけど――

まだ解析中。たぶん、私たちには詳細は教えてもらえないわ」


「まあ、知ったところで関係ねえな」


ライガが肩をすくめると、


「ライガが聞いても、どうせ分からないでしょ♪」


ミアがからかう。


「私は是非、本物を拝見したいのだが」


セリオンが口を挟み、

即座にエリシアに睨まれて肩をすくめた。


「で、ここからが――

あなたたちに直接関係する話よ♡」


ミニーがそう言って、グラディオを見る。


「これは、俺からだな」


グラディオは淡々と言った。


「報酬は高額。

それと、全員――ランクアップだ」


一瞬、静寂。


「双律の剣は、クランとしてBランクからAランクへ。

静寂の剣はAからS。

咆哮の剣はCからBだ」


それがどれほどの意味を持つか、全員が理解していた。


国内でも有数――

クランとしても、五指に入る立場になる。


個人ランクも同様だった。


静寂の剣は全員S。

ライガとミアはB。

ヴォイドはC。

シュレイは登録したばかりのため、Dへ昇格。


「ついにSか……あのジジイに追いついたな」


「AもSも、大して変わらないわ」


「やっとBか!すぐAになってやる!」


「お金、たくさんもらえるかな〜♪」


「……もうCか。少し早すぎるな」


「興味ないのじゃ」


反応は、見事にバラバラだった。


「それともう一つ」


グラディオが言葉を続ける。


「この件で、表彰が決まった。

王宮に招かれる。準備しておけ」


「えぇー……めんどくさい」


「美味しいもの、出るかな♪」


反応は――

ミアを除いて、ほぼ同じだった

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