私達。半分双子。半分他人。

椒央スミカ

第一話 高校一年生、夏(前編)

「だれ、このミルクティー頼んだの?」


 ──友達のだれかが言った。

 放課後の集まり。

 いつものファミレス。

 みんながずっと存在を無視してた、テーブルの上のぬるくなったミルクティー。

 だれも手に取らないし、口にも出さない。

 会計の時間が近づいたところで、ようやく話題に上った。

 私には、だれが頼んだのかわかってる。


 キサちゃん──。


 いま右隣でスマホをいじってる、

 キサちゃん……井ノ川いのかわ如月きさらぎ

 私……井ノ川いのかわより


 私達は、戸籍上では姉妹。

 でも……母親は違う。

 異母姉妹。

 それなのに生年月日が同じ。

 父親の浮気で生まれた、少しいびつな双子。


 それでもキサちゃんは、十年以上一緒に育った、私の双子の妹。

 ただ最近は、性格も、ファッションも、友達関係も……かなりズレてる。

 きょうは私の友達グループに誘ったけれど、まるでそこのぬるいミルクティーみたいに孤立して、ずっとスマホをいじってる──。

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