第27話 不思議な花束
私が働いていた保育園での話です。
ひとつの部屋に、謎の花束が置かれてました。
園長先生に聞いても「片付けても、誰かが置いてるのよ」と。
枯れることはないし、気がついたら新しいものになってるので放置してるらしい。
子供も見るだけで、触る子はいなかった。
でも、もしもがあると思って。
子供が触ると危ないしで片付けたんです。
あの日、最後に保育園を出ようとした時でした。
全ての部屋を確認して、最後に花束が置かれてた部屋を見た時です。
人が立ってたんです。
叫びそうになったのを何とかこらえました。
その人は、ゴミ箱を見てます。
何も無いゴミ箱を。
その人がゆっくりとこっちを見ました。
まるでこちらを待っていたかのように。
表情はわかりません。
ただ一言。
「花束は?」
歯がガチガチと鳴り、どう答えたらいいか分からなかった。
頭の中で様々なことを考えてました。
私はかろうじて。
「子供が触ると、あぶないから」
と答えました。
目の前の人(?)は、体ごと首を傾げてました。
「あー、そうか」
そう言って、その人は消えていきました。
以降、花束はありません。
その代わり、私の部屋に花束が置かれるようになりました。
私は、何を間違えたのでしょうか。
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