第9話 同棲
「ただいまー」
玄関の扉を閉める。靴を脱いで玄関マットにあがり鍵を靴箱の上に置く。
彼女はまだ帰っていないようだ。
おかしいな。
今日は早く帰るって聴いたのに。
玄関から廊下を抜けリビングへと足を運ぶ。
あ、リビングの灯りをつけておこう。
どうしよう、先にお風呂でも入ろうかな。リビングから廊下に戻り浴室に行く。
風呂はまだ沸いていない。
また沸かしていないのか。
帰ってきてから風呂が沸くのを待つのは大変なのに。
「仕方ない、シャワーだけでいいか」
タオルを使おうとしたが、いつものところにない。
また置き場所を変えたな。
探すと、下の棚に置いてあった。
そうだ、俺と彼女の身長差は結構あるんだった。
だから、届きやすい所に置いたんだろう。
シャワーを浴びてシャンプーをする。この匂い嫌いなのになぁ。
変えてって言ったのに、まだ変えてなかったんだ。
前の方が好きだったのに。
風呂から上がり、キッチンの冷蔵庫からペットボトルの水をもらう。
水を飲みながらテレビをつけると地元のニュースがやっていた。
どうやら、ここら辺に不審者が出るらしい。彼女に気を付けてと言っておかないと。
ふとテレビ台の上を見ると、彼女の写真が置いてあった。
俺との写真がない。
まだ根に持っているのか。
俺も悪いが彼女も悪い。
「……しょうがない、許してやるか」
そういえば、歯磨きをしようと思っていたら俺の歯ブラシが見当たらなかった。
ふと、けたたましいサイレンの音が聞こえ、カーテンを開ける。
どうやら警察が来ているようだ。
よく見ると、彼女がパトカーから降りてきた。
もしかして何かあったのだろうか。
もしかして、不審者にあったのだろうか。
来客を知らせるチャイムが鳴った。
多分彼女が帰ってきたんだろう。
慌てて玄関に向かう。
怖い目にあったのだろうか、とても心配だ。
玄関の扉を開ける。彼女共に警察も一緒だった。見送りに来てくれたのか。
玄関から出た俺を見て、彼女は怯えた顔をしている。
険しい顔をした警察官が、警察手帳を見せてきた。
「すみません、警察の者です。あなたに、住居不法侵入とストーカーの疑いがかかっています。お話聞かせていただけますか?」
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