第3話 写真
その日は、引っ越したばかりの部屋に友人を呼んで酒盛りをしようって誘ったんだよ。
夕方頃に3人の友人が遊びにきた。彼等が持ってきてくれた酒やつまみを食べつつ、ゲームをしたり話をしたりととにかく騒いだ。周りに響くくらい騒いだ。
A「こんなに騒いで平気なのか?」
友人の一人であるAが俺にそう聞いてきた。俺は
「このアパート、あんまり人がいねぇから大丈夫w」
と笑いながら答えた。
A「でも、割といい部屋だよな。駅チカで1LDKだろ?」
俺「おう。でも、家賃が安いんだよ。確か……、相場より3割くらい安いはず」
B「何かあんじゃねぇのww」
俺「何もねえよww不動産屋さんも何も言ってなかったしww」
その話は終わり、また馬鹿な話をしながら酒を飲んでいた。
B「写真撮ろうぜ!写真」
突然Bが引っ越し記念に写真を撮ろうと提案しました。全員酔っぱらっていたからノリノリで賛成した。さっそくベッドを背にして四人でポーズをとろうとする。自撮りだと大変じゃね?と思ったらCがスマホ用の三脚を持っていた。
Cが用意している間に、俺が一番前。ベッドの上には、AとBがのった。
C「帰ったら送るわ」
俺「今送れよwww」
Cが俺の隣に来た。数回のシャッター音が鳴り響く。
その日は写真を撮り終わった後、すぐに全員が寝落ちした。何が写っているかも調べないまま。
次の日、Cのけたたましい悲鳴で目を覚ました。
起き上がってCの方を見ると、何か恐ろしいものを見たような顔でスマホを見ているCがいた。
A「うるせぇよwwwC」
B「どうしたwww頭いてぇから叫ぶなやwww」
仕事の時間が過ぎていたのか?と思いましたが、その日は全員休みだ。
どうやって茶化そうかと考えていると、Cがガクガクとしながらゆっくりと俺たちの方に顔を向けた。
C「お、お前ら!昨日の写真見たか!?」
A「見る前に寝たじゃんww」
俺「なに、何が写ってたんだよ」
慌てているCをなだめながら、彼のスマホを借りて画面を見た。
それを見た瞬間、A、B、家主である俺は叫び声を上げた。
写真には、ベッドの下には男の顔がこちらをにらみつけるように写っていた。さらに、AとBの顔の間から青く虚ろな顔をした女がぼんやりと写っていたのです。
A「お、おい、これ、どうするよ」
B「やばいって……」
C「ど、どうするって言われても……」
俺「……とりあえずこの家、出ない?」
とにかくここから出たかった。俺は三人にこの部屋を出ようと提案した。
他の三人は寝起きと思えない素早さで身支度を整え、俺の家から近くにあるファミレスへと移動した。
四人で話し合った結果、とりあえずこの写真を霊媒師に見てもらおうという結論になった。この写真をすぐに見てもらえる人を探すことにした。
何件も電話と検索を繰り返す。一人の霊媒師が次の日で良ければと提案してくれた。俺たちはその提案に縋りついた。
待ち合わせ場所は今いるファミレスに指定し、その日は解散した。俺は、家に帰るのが嫌だったからAの家へとお邪魔した。
次の日、昨日と同じくA、B、C、俺の四人で集まった。ファミレスに行くとすでに霊媒師が来ていた。
霊媒師に写真を見せると、眉間にしわを寄せ写真を見つめていた。
しばらく経つと、霊媒師が写真を俺に返しながら。
「この方は、幽霊ではありません」
「一度、警察に連絡をしたほうがよろしいと思います」
「ただ……、それで解決するかはわかりません」
幽霊ではないと安心したのと、ならこれは……と背筋が寒くなった。
ちょっと不思議な言い回しをする霊媒師に料金を払い、ファミレスを後にした。その足で警察署へと駆け込んだ。
警察は俺を疑っているようだったが、写真を見せ何とか説得し家に来てもらった。
数分後、写真に写った男が警察官とともに出てきた。暴れてる様子はなく、きょろきょろと何かにおびえている様子だ。
よく見ると口元がぶつぶつと動いている。何を言っているか、聞き取れない。
ふと、男と目が合った。
男は、俺の方を見ると目を見開き口をわなわなと震わせた。
そして、突然暴れ始めた。
警察官が「おとなしくしろ!」と怒鳴りながら、男を取り押さえる。
男は、俺から目を離さずに真っ青な顔で喚きだした。
「こいつの……!こいつの女が、昨夜ずっと……!ずっと俺の事を見張ってたんだよ!!!」
「なんだよ、あの女は!なんなんだよ……」
暴れる男をなんとかパトカーに乗せる警察官。その時、警察官が俺に小声で話してくれた。
「あの男はいたのですが……。彼が言ったような女性は見当たりませんでした」
また何かあったら連絡してください。そういうと警察官はパトカーに乗り込み、言ってしまった。女はいなかった。けれど、男は行っていた。俺の女がずっと見張っていた……。
俺はその日のうちに、不動産屋に連絡を入れて引っ越しをした。それ以降、変なことは起こっていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます