Ⅴ‐Ⅲ 典型的なチンピラ
蒼琉が行方不明。
私は目が飛び出るくらい驚いた。
あの優等生が仕事引っ張り出して行方不明!!
こいつぁ傑作だ!
いやー優等生でもそんなことしちゃうんだ〜
「・・・紅葉、ゲスいよ?」
「私なぁんも言ってないよ?」
「今のあんたは顔に出まくってる」
・・・そんなに?
美咲のことだからまた心読んだのかと思ったけど・・・さすがに平常心を保たねば。
「ま、とにもかくにも捜索人数が増えただけでしょ?いいよ。捜してあげる。行方不明になった優等生さんを捜すなんてめったにないし〜。いやー、見つけたときどんな顔してるか見ものだね〜」
スマホの電源無事だったら写真撮ってやるのに。
「―――――クレハさんは、そのソウルさん?て人がお嫌いなんですか?」
長い沈黙ができた。
・・・ここまでド直球に質問が来るとは思わなかった。
いや嫌い・・・というか、その・・・・・・
「・・・別にただ気に食わないだけ。アイツをぎゃふんと言わせられるから、今回は助ける。それに、何かあったら目覚めが悪い」
「・・・・・・クレハさんってお優しいですね!」
な・ん・で・そ・う・な・る?
よく見ると
あんたら私をなんだと思っているの?!
「歪んだ性格者」
美咲ー!?
そんなわかりきったような口調で言わないで?!
さすがに傷つくよ?!
・・・そこまでじゃないけど。
まあ、私も確かに調子乗って言い過ぎたかもしれないけどさ・・・・・・
「—————ひとまず、私は隣町を統治しているフォルミカ男爵に連絡を入れてみます。ここまで探していないとすれば、もしかすると隣町まで行った可能性もあります」
・・・単純に情報不足で見逃してる可能性のほうが高い気がするけどね?
ということで、私たちは一度ミラさんと別れた。騎士たちも数人捜索に置いていってくれた。ありがたいことだ。
***
ミラさんと別れてからさらに1時間が過ぎた。
おそらく今夜8時くらいだろう。
私達はそろそろ焦りだした。
もし
蒼琉はなぜ帰ってこない?
たった一つだけでもいい。
そろそろ、何か手掛かりが———————
「————おい、お頭。あそこにイイ女がいるぜぇ?」
「あぁ♪特にメイドのやつ、いいかっこじゃねぇか!」
「これは楽しみがいがありそうだぁ!」
噴水の前で作戦会議していると、世紀末風な赤、青、黄色のモヒカンの男たち3人が私たちに近づいてきた。
・・・あぁ?
こっちは今忙しいんだよ?
てめぇらなんかに書けてる時間はねぇんだよ。
今なら見逃してやるからさっさと—————
「————すみません!我が主人、ヴァローナ様を知りませんか?!10歳ぐらいなのですが・・・失礼、お会いしたことありましたね。あなたたちですね?我が主人を攫ったのは」
モヒカンたちの目が変わった。
おそらく、朝あったことを思い出したのだろう。
すぐさま黄色のモヒカンがミランさんを殴りかかろうとした。
しかしミランさんはその拳を華麗に避け、踵落としをかました。
「————がっ!」
「イッチ!てめぇ!よくも!」
させないよ。
私はミランさんに向かって振られた赤いモヒカンの拳を片手で止めた。
驚愕の顔を見せる赤モヒカンを私はグーで殴り飛ばした。
「ニツー!————くっそ!覚えてろ!」
あらら。逃げられちゃった。
まぁこの二人だけでも大変大きな収穫だ。
さぁて、てきぱき口割ってもらうぞ~
***
「————それじゃ、尋問を開始するぞ~。答えなかったら・・・わかってるね?」
私は凄みのある笑みでモヒカン二人を見下ろした。
モヒカンたちはひっと恐れていたが、それは自己責任だ。
悪の道に進んだ時点でそういう運命だったのだ。
「———ヴァローナ様はどこにいらっしゃますか?」
モヒカン二人はしばらく顔を見合わせていたが、観念したように語り始めた。
「———第4王子なら、今はフォルミカ男爵の屋敷に捕らえられている。それ以上のことは俺らは知らん」
けっこう重要なこと知ってるじゃん。
ようやく進展だ。
さぁて。
真犯人らしき名前が出てきたぞ?
ちゃちゃっと屋敷に突入して、サクッと倒してきますか。
「————それじゃ、私が残ってミラさんに連絡してこのモヒカンを拾ってもらうよ。あと
「いや、私が残ろうか?たぶんけがとかしてたら回復要員が必要な気がする」
睦月の言う通りだ。
今この中で回復系の魔法が使えるのは美咲だけだ。
もしヴァローナ・・・君?とかが怪我をしていたら治療できる人がいたほうがいい。
「————わかった。しっかり伝えるんだよ?」
「もちろん!私も伝えたらすぐ追いつくね!」
「お待たせしましたミランさん。それじゃあ、行きましょう!」
「・・・みなさん!本当にありがとうございます」
ミランさんが涙を浮かべながらお礼を言った。
いいってことよ!
さぁ、ちゃちゃっと終わらして帰るぞ!
***
「————主人は今留守だ。出直してこい」
「本当にお願いします!もしここに主人が捕まっているのなら、今すぐ解放してください!」
・・・いや、無理だろ。
あれからさらに1時間が経ち、現時刻は21時ごろ。
私達は隣町の男爵の屋敷に着いた。
まずはどうにかして中に入りたいのだが・・・騎士団によって守られてしまっている。今美咲が屋敷をっ鷲ぐるりと回っており、どこからかはいれる場所を探しているようだ。
しかし、ミランさん・・・天然か?
この手のパターンだいたい人質とか返されねぇよ・・・
というか返せって言って返された人質なんてみたことないよ・・・
「————紅葉」
お、美咲が戻ってきた。
どう?
侵入できそうな場所会った?
美咲は黙って首を横に振った。
そりゃそうだよなぁ・・・
どうしよー・・・
「———いい加減にしろ!そんな事実はないと言っているだろ!だいたい今何時だと思っている!無礼だぞ!」
うん。ぶっちゃけその通り。
だけど、私たちが知っている情報だとここだけなんだよね・・・
「———どうする、紅葉?私が時間を稼ぐから正面突破する?」
美咲もだいぶ落ち着きが無くなり始めた。
・・・あ。
「それもいいけど、面白いこと思い付いた」
「——————?それって————?」
「実際に見せたほうが速いね」
私は高く飛び上がると、近くの家の上に立った。
すぐさま男爵の屋敷の騎士たちが底を降りろと騒ぎだした。
もう、何もかもが面倒くさい。
なので————
「———————【閃光の戦槍】」
私は無数の光の槍を屋敷に向かって放った。
屋敷は一瞬にして崩壊し、内部がくっきり見えた。
そこには、ずっと探していた二人が、スキンヘッドの男と戦っていた。
———まったく、そういうことね。
許してやる。
だから————
「————助けに来てあげたよ。感謝しなさい」
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