カルディアのお祭り
カイが馬から降り、私を馬から降ろした。
「ここで待っていてください。リーフ、サクラ頼むぞ!」
「ワン!ニャン!」二匹が答える。カイは手綱を引いて馬を誘導した。行先には馬がたくさん繋がれているところが見えた。カイは馬を繋ぐと、近寄ってきた人と何か話をしていた。驚いたことにその人はカイに敬礼した。カイは頷くと、私たちの方に戻ってきた。
「ここからは歩きます、街中には馬では入れないので。疲れませんでしたか?」
「疲れてはいませんが、初めてなので回りは見ることが出来ませんでした」と私は答えた。
カイと一緒に町の方へ歩いているとだんだんと通りが賑わってきた。
私はきょろきょろと通りのお店を見て回った。奇麗なもの、食べ物や果物、服など色々と売ってある。人々の笑い声、お店の呼び込み、どこからか聞こえる「乾杯!」の声みんな楽しそうにしている。
「祭りの日は通りに屋台が建つんですよ。何か気に入ったものはありましたか?」
「色々あって、目移りします、見たことないものばかりで。この国とても栄えているんですね、これだけの種類の品物が売られているんですから」
「ええ、風神ヴェンティと王族に守られた国ですからね。平和そのものですよ」
二人は話しながら通りを歩いて行った。
しばらく歩いていると先の方が何やら騒がしくなってきた。人々の怒号が飛び交う。見ると馬が全速力で駆けてきた。
「危ない!」カイが私を通りの隅にひっぱった。
だが馬は戻ってきて、また突っ込もうとする。その前に女の子がいた。
「危ない!」私は思わず飛び出して女の子をかばった。馬が猛スピードで迫る。
『カイト、リーフ、サクラ助けて!』私は心の中で叫んだ!
暫くしても何も衝撃が無い、光に包まれているような感じに私はおずおずと目を開けた。肩に乗ったサクラが全身の力を使って私と女の子を光で包んでいた。
リーフが馬の前に立ちふさがり力で抑え込む。カイは馬が止まったのを確認すると手綱を引いて馬を落ち着かせた。
光が消えると「ママ!」かばっていた女の子が母親を見て走り出した。母親は娘を抱き寄せるとこちらに礼をして立ち去った。
「何の騒ぎだ!」突然大声が響いた。「カイ何があった」
「馬が暴走して止めたところです」
「そうか、けが人は」
「ありません、彼らが手伝ってくれましたから」カイはリーフとサクラの方を向いた。
「そうか、こちらへ寄れ」カイはその人に近づいた。
「彼女が異世界からの 転移者か?」
「そうです」
「そうか、いい護衛が付いているようだな。後で報告に来い!」
「承知いたしました」そう言うとカイは最敬礼した。
「民たちよ!危険は去った。祭りを楽しみたまえ!」と彼は大声で叫ぶと護衛と伴に去って行った。
カイは私のところへ戻ってきた。
「何が起こったの?あの人は誰?」
「ここでは言えません、果物でも買って帰りましょう」
二人は果物を買うと、馬に乗って家へと帰った。
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