【第三話】 最初の仲間候補は、謎に無表情な魔法少女でした。

翌朝。

俺はギルドの宿で簡易ベッドから起き上がり、木造の天井を見上げていた。


「……朝、か」


転生して2日目。

特に夢を見ることもなく、妙にスッキリした目覚めだった。


スライム討伐で得た報酬130リル。

飯代と宿代を差し引いても、まだ70以上残ってる。

当面の生活には困らない。が──


「……暇だな」


チート職の遊び人って、マジで“何でもできる”んだよな。

そのせいで、明確な目標がないと逆に手持ち無沙汰になる。


ふと、昨日の猫耳少女のことが頭をよぎった。


(……ピースして、消えたよな。なんだったんだ、あれ)


まあいい。今日も軽く依頼こなして、スキル収集でもするか。


ギルドへ向かうと、朝イチのカウンターに数人の冒険者が並んでいた。

その中に、妙に目を引く存在があった。


──真っ白なローブに、青い髪の少女。


「……なんだあの子」


ぱっと見は10代後半。透き通った肌に、冷たい眼差し。

だが、その手には魔法使いの証である“魔導書”が握られている。


「初依頼かね、レミアちゃん?」


受付嬢が話しかけている。


「はい。単独で行きます」


「え、でもこの依頼、Dランク相当よ? 初心者にはちょっと……」


「問題ありません。単独で処理します」


レミア、と呼ばれた少女は感情を感じさせない声で言い切った。


「……おいおい、死にたいのかよ」


周囲の冒険者たちが小声で笑う。

だが俺は、その冷たい目の奥に、妙な“自信”と“焦り”を見た。


(たぶん、こいつ……ヤバいスキル持ってるな)


案の定、彼女が向かうのは「呪毒ワスプの巣」。

通常の初心者じゃ、触れるだけでやられる強敵だ。


「──ついて行くか」


俺は受付に名乗り出る。


「ちょっと、その依頼。同行してもいい?」


「あなた

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