【第二話】 スライムにすらビビる冒険者たち、俺だけ楽勝ですけど?

「ようこそ、ルエンブルグの街へ!」


商人の馬車に乗せてもらい、到着したのは石造りの門が立つ、賑やかな城下町だった。

露店の行商人、剣を背負った冒険者、回復を請け負う白衣の神官──

まさに“ファンタジー”な光景が広がっている。


「ふぅ、やっと普通に飯が食えそうだな」


とりあえず金がない。

持っているのは、チュートリアル報酬らしき《初期装備パック》と10リル(日本円で500円ほど)。


「うん。とりあえず冒険者ギルドか」


ギルドの入口には「冒険者募集中!」と書かれた看板。

中に入ると、受付には綺麗な女性職員が立っていた。金髪で胸元がやたら開いてる。


「ご登録ですか〜? あら……職業、遊び人?」


受付嬢の口元がピクッと引きつった。


「すみません、うち、芸人枠じゃないんで……あ、でも登録だけはできますよ?」


「……いいよ、バカにされるのは慣れてるし」


適当に笑って流す。

登録後、初心者向けの討伐依頼を見ていた俺の背後から、鼻で笑う声が聞こえた。


「おいおい、また“遊び人”かよ。勇者気取りが最近多いな」


振り返ると、筋肉自慢の男たちがこちらを見ていた。

腕っぷしだけで世界救えると信じてそうな脳筋タイプだ。


「遊び人? スライムにすら殺されるって噂の?」


「ワンパンで泣きながら逃げるのがオチだな!」


──お前ら、見る目ねぇな。


「じゃあ、そのスライム討伐、一緒に行くか?」


俺は壁に貼ってある「スライム10体討伐(報酬30リル)」を指差した。

男たちは嘲笑交じりにうなずく。


「おう、泣いても知らねぇぞ。死んでも責任取らねぇからな!」


こうして、ユウトの初討伐は筋肉脳たちとの同行になった。


* * *


「で、ここが討伐対象エリア……ん?」


森の中に入ると、すぐにスライムたちがにじにじと出現する。

数は5体。ぷよぷよしてて可愛らしいが、油断すると意外と危険だ。


「へっ、さっさと終わらせて……ぎゃっ!? な、なんで増えた!?」


「う、動きが速ぇ!? スライムのクセに!」


どうやらスライムは進化型のようで、見た目より凶暴。

周囲がパニックになる中、俺は平然と立ち、スキルを発動する。


《スキル発動:遊戯模倣──対象:近くの戦士A》


──ドンッ!


右手を振ると、まるで戦士が放つ斬撃のような衝撃波がスライムに直撃。

一撃で弾け飛んだ。


「な、なんだ今の!? お前、遊び人だろ!?」


「うん。でも戦士のスキル、もらったから」


「意味わかんねぇ……! チートかよ!」


残りのスライムも、模倣したスキルと適応力であっという間に撃破。

あっけに取られた男たちを横目に、俺は草むらに落ちた小さな宝石を拾った。


《アイテム取得:スライムコア(希少)》


《幸運極振り:レアドロップ発生》


「ふむ……運も、悪くない」


そしてそのとき、森の奥の茂みがガサリと揺れた。


──見ている。


気配がした。

気配を断つ技術は完璧なのに、視線だけがやたら熱い。

ちらりと視線を向けると──


そこには、猫耳フー

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