Section_2_1c きっと今夜は、いい夢が見られそうだ。

## 5


その夜、私は読書記録ノートに今日のことを書いた。


『文化祭でポップ制作を担当することになった。航くんと一緒に。


彼と話していると、本のことだけじゃなく、色んなことを知りたくなる。


彼がどんなことを考えて、どんなことを大切にしているのか。


一か月後、私たちはもっとお互いのことを知っているのだろうか。


そして——私の気持ちは、今より深くなっているのだろうか』


書き終えてから、ペンを置く。


最後の一行は、書くのを迷った。でも、正直な気持ちを書きたかった。


航のことを想うと、胸が暖かくなる。


それは確実に、友情とは違う感情だった。


でも、それをどう呼べばいいのかわからない。


恋?


まだそこまで確信は持てない。


でも、少なくとも——


私にとって航は、特別な存在になっていた。


窓の外を見ると、星が出ている。


明日からまた、普通の授業が始まる。


でも、来週にはまた航と一緒に作業をする時間がある。


そう思うだけで、なんだか明日が楽しみになった。


きっと今夜は、いい夢が見られそうだ。

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