20怖目 『首を絞めたのは』


 夏の寝苦しい夜、ふと金縛りにあったかと思うと、突然、誰かに首を絞められた。


 必死に目を開けて確かめると――妻だった。


 次の夜も、眠っていると再び金縛りにあい、またしても妻に首を絞められた。


 その次の夜も、さらにその次の夜も、妻は同じように、無言で僕の首を締めつけてきた。


 そんな日々にも、次第に慣れてきたある夜。

 いつものように金縛りに襲われ、また首に手がかかる。


 けれど、その夜の力はいつもよりも遥かに強かった。


 翌朝、妻に昨夜のことを尋ねると、彼女は静かにこう言った。


 「昨夜は、絞めてないわよ」

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