第12話 沖合いの主
中央戦線へ撤退指示が飛び交っている頃、『第六南部沿岸基地』――
「んー、おいひー」
「本当にお肉なのです」
「食感も栄養価も肉と同じくらいあるからな。昼は少しやる事があるから腹八分目な」
オレ達は体液がある程度抜けた『
サンダーとエクエルもナイフに慣れてきた事もあって作業はスムーズに進み、火を起こして串焼き調理。塩胡椒をまぶせば味付けも完璧。脂質が殆ど無い事もあってヘルシーな肉ってとこだ。
「………………」
ハハハ。相変わらず天那は虫を食す事を渋っているな。朝の卵黄スープも美味しいとは感じつつも少し敬遠してたからそろそろ空腹も限界だろう。
今、基地で一番燃費が激しいのは天那だし、ある程度は割り切って欲しい所だぜ。
「……クソが……」
覚悟を決めた様に、ぷるぷるしながら口を開けて『
「だから……なんで美味いんだよ……」
認めたくはない様子だが、それだけ身体が足りない
「天那、残り5本の串焼きはお前に必要な分だ。全部食っていいぞ」
「……チッ」
舌打ちしながらも食べる。一度美味いと分かれば空腹時に拒否する理由はないからな。
ついでに次の目標に関しても話しておくか。
「皆、食べながらで良いから聞いてくれ次の目標は――」
その時、海から“ラァァァァァァ”と高音が鳴り響いてきた。分厚い城壁からも聞こえるソレは、かなり遠くまで響いただろう。
「ヤツか!」
天那は串焼きをくわえたまま、傍らに置いた長槍を持ち、海側の城壁に向かうと長槍の柄尻を立てかけて大ジャンプ。城壁の上へ飛び上がり、長槍を手元へ持ち直す。理想的な高所への乗り方だな。
オレは天那の真似は出来ないので城壁付近に積まれた木箱などから上に登る為に動く。
後で縄梯子もつけるか。するとサンダーとエクエルが服を掴んだ。
「司令官さん……見たらダメ……」
「凄く……危ないのです……」
「ハハハ。それなら尚更、見ておかないとな」
オレは安心させる様に笑い、二人の頭を優しく撫でると手を離してくれたので天那の後を追った。
なかなか登れなくて落ちそうになるも何とか城壁の上に這い上がる。天那は海――沖合いを見ていた。
“ラァァァァァァ――”
「沖からだな」
「ヤツが来る前兆だ」
沖合いが爆発する様に吹き上がると、天高く伸びるようにソレが姿を現した。
『
「デカいな」
「1年前にここを縄張りにし始めたクソ野郎だ」
『
その時、『
「おいおい」
こちらに向けると同時に口を開き、水弾を発射してくる。
「チィッ!!」
天那は前に出ると槍を両手で持って大きく振るい、水弾へ的確にぶつけると粉砕破壊。しかし、生まれた衝撃波に後ろに吹き飛ばされ、オレは咄嗟に庇った。
オレの踏ん張り力では耐えきれず、そのまま仲良く城壁の内側へ落下する。ぐげっ……
「天那!」
「司令官様!」
サンダーとエクエルが駆け寄ってくる声が聞こえる。
「野郎……ここまで届く様になってやがる」
天那は衝撃に頭を押さえながら苦悶をもらしていた。
「天那……早く退いてくれるか? 重い……」
対するオレは天那に潰されていた。
落ちた先は落下した時の為に作ってた藁束の範囲だったので、天那の体重に押し潰される事だけがオレを苦しめている。
「……チッ」
何に対しての舌打ちなのかは解らないが、スッと退いてくれた。ハハハ。
「な、何があったの!?」
「急に二人とも吹き飛んだのです……」
「……」
天那はオレに説明を任せた様子だった。
「『
「やっぱり……あいつ……」
「天那さん……」
「心配すんな。奴はオレがぶっ殺す」
ぽん、とエクエルを安心させる様に頭に手を置く天那。丁度良いさっきの続きと行くか。
「それなら話は早い。次の目標は『
それに必須な道具は現時点で揃えられるだろう。唯一の問題は……人材だな。
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