第8話 嫌いなヤツ
両手で大剣を握り、強引に振り上げた
「――――マジか……」
しかし、切っ先は空を切る。
後方へ跳躍しつつ飛翔。体長5メートルを超える『
故に懐に入られると言う事態は何度も経験して来ている。だが、こうして生き延びている事は、その欠点を覆して敵を屠り続けて来たからに他ならない。
「な、言った通りになっただろ?」
ハンニバルが城壁の上から『
“天那、お前を『
“それでお前の作戦は終わりか?”
“いいや。次は『
飛行状態の『
「――――!?」
バタつく羽根に絡まり強制的に飛行不可を促し、落下する。
“『
「マジか……あの野郎」
『
喰らえる――
天那の中にある『ナイトウルフ』が『
大剣を肩に『
「――――」
「ちっ!」
だが、『
視点を電磁波から複眼に切り替えたのだ。暗闇に殆どは機能しないが、天那だけを捉えるなら問題ない。
しかし、下半身の踏ん張りが効かない為、速度と精度は大幅に低下。それでも、城壁や地面をバターの様に切り裂く鎌の切れ味は健在だった。
三斬を見舞う。天那は大剣が破壊されぬ様、刃筋に角度をつけ、捌き、躱し、弾き、互角の打ち合いを続ける。
「ふ……フフハハハ――」
『
「ハハハ――アハハハ!!」
狂気の笑いと共に天那が上回っていく。鎌が掠め、肌に切傷を残すも刃の回転率は――
「――――」
二斬を同時に弾かれ、『
疾駆。天那は大剣の切っ先を前に『
しかし、その瞬間、掛かっていた網が羽根の羽ばたきで取れ『
死の悪寒。重心は前で方向転換は出来ない。天那よりも『
これだ。この感覚を――
「俺が俺を実感できる瞬間だ!」
この切っ先が届かなかったら死んでも良い。本気の本気でこの瞬間に高揚し、天那は狂笑を浮かべた。
二つの鎌が動く。しかし、感じていた死の悪寒が唐突に消えた。
「――――」
天那に振り下ろされるハズの鎌は城壁の上から『
“俺は正面からぶっ殺しに行くが、お前は壁の上から石ころと網を投げるだけか?”
“ハハハ。まだ手はある。虫の特徴として奴らには経験は溜まるが、驚異の判断は出来ないんだ。総じて、自分の眼に近いモノを攻撃する習性がある”
攻撃力を持たずとも、頭部に近いハンニバルの方を驚異と見なした『
「――馬鹿が……」
冷静を取り戻す様に天那の血が冷えていく。
ハンニバルは振り抜かれた鎌に吹き飛ばされ、それと同時に大剣の切っ先が腹部に突き刺さる。
「! ギィ――」
『
羽根を広げ宙へ逃げようとするが、その前に天那は大剣を引き抜き、その反動で回転した刃が『
「牙が喰らいたヤツを逃がす
ズル……と『
「…………」
また……俺は護られたのか?
天那はハンニバルを探す。『
「…………」
「……お……ぃ……」
「!」
声が聞こえ、倒れている『
「持ち上げてくれ……」
「……ははは。この野郎!」
天那は大剣で隙間を作ると、ハンニバルは這いずる様に脱して、ふー、と安堵の息を吐く。
ハンニバルを見ると胴体に鎧をつけて、その中には更に着ていた上着を丸めて片側に寄せていた。
「死んだかと思ったぜ」
「この上着は『
それでも『
「耐えられるかは賭けだったがな。ハハハ。オレの勝ちだ」
「それは作戦には無かっただろ。なんで命を賭けた?」
「オレよりもお前の方が二人には必要だからだよ」
ハンニバルは何事も悟らず安らかに眠るサンダーとエクエルの居る建物へ視線を向ける。
「お前を勝たせると約束したしな。それに、自分で泥を被らないヤツの言葉に“重み”は無いだろ? オレはそう言うヤツが嫌いでね」
「……俺もだよ」
と、天那はハンニバルへ手を差し出す。
「手を取って良いのか?」
「俺一人じゃ勝てなかった。それに……今の状況で人手が増えるのは悪くないからな」
「ハハハ。そうかい」
ハンニバルはその手を取って起き上がらせて貰うと、改めて『
そんな、ハンニバルの背中に天那は、
「ハンニバル」
「なんだ?」
「俺も寝る。起きたら何をするのか指示をくれ」
「色々と決めとくよ」
背中あわせながらも、ハンニバルと天那は互いに笑みを浮かべた。
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