第18話 知らない声と移動する僕

「さぁ、もう1度。今みたいに、他の魔獣さんの事を考えちゃダメよ。元に戻る事を考えるの。良いわね」


「うん!!」


 今度こそ最後の練習。さっきはモコレットに事を考えちゃったからそれはダメ。元に戻ることだけ考えるよ。


 僕は目をつぶって、魔力シューと魔法を使う事をしっかり考えた後、人間の僕の事を考えようとしました。でも、魔法のことを考える終わった時。


『今助けるっチュ!! 静かにしてるっチュよ!!』


 知らない声でそう聞こえた瞬間、僕は首の所が何か変な感じがして。それと同じ時に、僕の体がフワッと浮かんだ気がしたんだ。

 それからその後は、今日は風があんまり吹いていなかったのに、急にちょびっとだけ風が吹いて、体が横に揺れたり縦に揺れたりしたの。


 それだけじゃありません。さっきまでママ達は僕の側にいてくれたのに、ちょっと遠くでママ達の僕を呼ぶ声が聞こえたんだよ。


「ルーパート!?」


「ルーパート様!!」


「坊っちゃま!?」


 なんかママ達の声、慌ててる? それに何で僕は揺れてるの? 僕はそっと目を開けたよ。そうしたら、僕は自分で走っていないのに、ママ達がいつも運んでくれるように移動していたんだ。


 僕は慌てて周りを見ます。あっ!! ママ達あんな所にいる!! あれ? ママ達が走ってくる方に置いてある鏡、あれってさっきまで、僕が練習で使ってた鏡だよね? 僕、あそこからここまで、こんなに移動しちゃったの!?


 ママとグロリア達が、物凄い勢いで、僕の方に走って来てる。僕、どうして移動してるの? 僕はママの方に手を伸ばそうとしたよ。でもその時また、さっきの知らない声が聞こえたんだ。


『大丈夫っチュ。とりあえず今は逃げるっチュよ。それでゆっくりお話しっチュ。もしも危険な人間じゃなくて、お話ししてただけなら、後でごめんなさいするっチュから。今は静かにしてるっチュ』


「チュウ?」


 何でチュウ? どんどん移動する僕。追いかけてくるママ達。う~ん、僕何で移動してるか分かんないし、誰がお話ししてるか分からないけど、あんまり怖い感じがしない?


『間に合ったっチュ!! 今から狭いトンネル通るっチュから、今までみたいに、体動かさないで、手足も動かしちゃダメっチュよ』


 トンネル? 僕は周りを見てみました。そうしたら、お庭を綺麗にする道具がしまってある小屋の所まで来ちゃってて。どんどん僕は小屋に近づいて行ったんだ。そうしたら小屋の下の所に穴があって、僕はその中に入っちゃったの。


「ママ~!!」


「ルーパート!! ルーパート!!」


 僕は何回もママって呼びました。でも入り口はどんどん向こうにいっちゃって、周りは真っ暗になっちゃったよ。


「ママ……」


『ん? 今ママって聞こえたようなっチュ? まぁ、良いかっチュ。もう大丈夫っチュよ。今、明るくするっチュ。チュチュチュ!!』


 チュチュチュ? あっ、周りがとっても明るくなった! わわ! 本当にトンネルみたいだ!


 どんどん進んで行く僕と誰かの声。僕は言われた通り壁に手や足をぶつけて怪我をしないように、じっとしていました。

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