第19話「僕の中間テストがあまりにもひどかったのでやり直したいと思います。」

雨が降っているせいなのか、中間テスト当日だからなのか、クラスの空気はどこか重苦しい。


待ちに待った……いや、待ち望んでいるのは多分読者だけだろう中間テストの日。


だけど、僕は不安だった。


正直なところ、最近になって自分があるルールに縛られているような気がしてならない。テストで80点以上取らないといけないらしいという話を、どこかで聞いたような気もするけれど、それが本当かどうかはわからない。


特に英語は苦手で、昨日は徹夜して少しでも点数を上げようと頑張ったけれど、自信はない。


「まあ、今は目の前のテストを乗り越えるしかないか」


1時間目から5時間目まで、数学、国語、社会、理科、英語。


めんどくさい並びだ。特に最後の英語が憂鬱だ。


1時間目の数学は、思ったより簡単だった。正の数や負の数の計算だけだから、100点も狙えそうだ。


2時間目の国語は、作文の途中で眠くなってしまった。起きた時には試験時間の半分は過ぎていて、空白がたくさんできてしまった。きっと70点くらいかな。


3時間目の社会は、もう半分諦めて適当に解いたけれど、意外と合っていた。90点くらいにはなるかもしれない。


4時間目の理科は、昨日の徹夜が響いて、ほとんど眠っていた。運悪く教務主任に見つかって、教科書で叩かれてしまった。痛いけど、仕方ない。


5時間目の英語は、完全にダメだった。リスニングの途中から寝てしまい、答案はほとんど空白だ。名前を書く欄も点が付いている。


「終わったな」


そんな気持ちが、胸の中で膨らんだ。


テストの結果がどうなるか、僕にはわからない。


でもどこかで、また同じ日をやり直すような気がして怖い。


もしそうなら、今度こそ何か変えなきゃ。


そんなことを考えながら、雨音だけが教室に響いていた。


= = = = = = = = = = = =


雨がしとしとと降り続く朝。教室には静かな緊張感が漂っている。


荒垣先輩は窓の外をぼんやりと見つめながら、机の上の教科書を何度も開いたり閉じたりしていた。


今日は中間テスト。


「……もう、テストか」


ため息をひとつついて、荒垣は心の中でつぶやく。


和田くんは1年生で、まだ何もかもが新しい環境に戸惑っている様子だ。


「和田くん、大丈夫かな…」


最近、女神さまが夢に現れて、ぼんやりとした言葉を告げていたことを思い出す。


「あ、そうだ。和田くんが中間で80点以上取らないと、ループから抜けられないよ。目標にそう書いてあるから。それじゃあね!」


その言葉が脳裏にちらつき、胸の奥がざわついた。


現実は厳しい。テストのプレッシャーは誰にでもあるけれど、和田くんには特別な意味を持っているのだろう。


教室は英語の試験が始まる静けさに包まれていた。


荒垣はペンを握りしめ、問題用紙に目を落とす。


「まずは英語か…集中しないと」


問題を読み解くうちに、時折彼女の頭の片隅に女神の言葉が浮かぶ。


「80点以上…」


でも、そんなことを考えている暇はない。試験は容赦なく時間を刻んでいく。


試験が終わると、次は社会。歴史や地理の問題が続く。


荒垣は目を細めながら、焦らずに一つひとつ丁寧に解いていく。


その合間に、さっき和田くんが机に伏していた姿を思い出す。


「大丈夫、まだ諦めるには早い」


国語の試験。長文読解と作文。


「和田くん、眠くなってないかな…」


心配しながらも、自分のペースで問題に向かう。


数学、理科と続く。時間が経つごとに疲れは増していくが、荒垣は気を抜かず最後まで集中を切らさなかった。


放課後、校舎の廊下を歩きながら、荒垣は改めて自分に言い聞かせる。


「和田くんも、私も…あと少し、頑張ろう」


雨の音が静かに耳に響き、彼女の胸には明日の希望がわずかに灯っていた。


= = = = = = = = = = = =


夜。いつも通り布団に入って寝る。

ああ、テストの結果はダメそうだ。

結果が返ってきてダメだったのを次のループでやり直せば100点取れるかも。なんてね。


テストやループについてあれこれ考えているうちに僕は寝てしまった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


気がつくと、朝だった。


起きあがろうとすると今までにない腹痛が体を襲う。


「い…たい…。」


そのまま時刻は何時か、そもそも今日は何日かがわからないまま失神してしまった。

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