轟さんの悩み事的なアレ ⑥

 羅刹らせつ羅刹らせつって言ったか?

 なんで第四ダンジョンの主がここ第三ダンジョンにいるんだ?


「【鉄壁てっぺき】か、オマエが言ってた一二三ひふみって奴を見にきたんだよ」


 【羅刹らせつ】のオッサンは子供が見たら夜一人でトイレに行けなくなりそうな獰猛な笑顔を見せながら言う。


「おぉー!そうか!コイツが一二三ひふみだぁ!生意気な口を聞くが、実力は確かだぜ!」

「生意気なのは既にわかった。あとは実力だな」


 二人してこっち見んな。

 オッサンに見られて興奮するような性癖なんてこっちには無ぇよ!


「二人してこっち見んな。

オッサンに見られて興奮するような性癖なんてこっちには無ぇよ!」


「オッサンって言うなよー」

「誰がオッサンだっ!」


 だいぶと周りのギャラリーが増えてきたので諦めて、しょうがなくダンジョンへと連れ立って入ることになってしまった。



 ダンジョン一階層。


「【羅刹らせつ】、今回は人数を使っての不意打ちは無しだかんな」


 とどろきのオッサンが【羅刹らせつ】のオッサンに話しかける。


「第三まで手下は連れてきてねーよ。

第一、俺がこんな子供相手にそこまでする必要もねーだろ?」


「あー、まぁ、オマエがそう思うならそれでもいいが、今回の件は俺ぁ、立会人として見届けさせてもらうぜ?」


 なんか、勝手にオッサン二人の話し合いは進められて決定したみたいだ。

 普通に帰りたくなってきたぞ。



 その後、ダンジョン内の袋小路まで歩き、ここを自分と【羅刹らせつ】の立ち合いの場所とするそうだ。

 立ち合いの証拠として、とどろきのオッサンはカメラ付きのドローンを飛ばし、映像記録を撮影するとのこと。

 ちなみに、自分は未成年なんで、ネットにアップロードしてもいいが、プライバシー保護として顔にモザイク、音声にはエフェクトをかけてもらう予定だ。









 立ち合いは一瞬で片が付いた。


 【羅刹らせつ】のオッサンが放った攻撃をかわして、カウンターで一撃。

 ワザと顎先を狙って、脳みそを揺らしたから暫くは立てないだろう。

 これでも殺さない配慮はしたんだから感謝してほしいものだ。


 そんで、今現在もまともに立てない【羅刹らせつ】のオッサンは信じられないと言った顔から、今はマグレだ偶然だと騒ぎ立てている。みっともない。


「【羅刹らせつ】よぉ、本当は分かっているんだろ?手加減されたことくらい」


 とどろきのオッサンの一言で【羅刹らせつ】のオッサンは崩れ落ちた。


とどろきさん、撮影はもういいでしょう?止めてください」

「ん?あぁ、わかった」


 撮影していたドローンをとどろきさんが回収する。


「さてと、さっき言ってた親兄弟うんたらって聞き捨てならない言葉を吐いたオッサンにお仕置きをもう少ししないとね」


「ま、待てっ!一二三ひふみ!もう終わりだっ!一二三ひふみっ!

      ー  ー  ー  っ!!!!」

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