轟さんの悩み事的なアレ ⑤
めんどくさい。
その一言に尽きる。
なんで第四ダンジョンの主的なおっさんが自分を訪ねてくるのか理解ができない。
多分、
「オマエが
違いますよ。と言っても信じてはくれないだろう。
男の雰囲気から俺はいつでも戦闘体制に移れるぜ!的なオーラがプンプン臭ってくる。
「はい。自分が
瞬間、ダンジョンセンター内の室温が2℃下がった気がした。
「オマエ、俺を知らないのか?」
「あ、有名な方でしたか。存じ上げずスイマセン」
「ぐっ!……まぁ、いい。ちょっと顔を貸してもらうぞ」
「え?嫌ですけど?」
「おっおまっ!」
「知らない人に付いて行っちゃいけないって教わりましたんで」
「なるほど、死にたいらしいな」
「?」
なんだ?このおっさん、カルシウム不足か?
!!
目の前のおっさんはいきなり拳を繰り出してきた。
裏拳が自分の顔面目掛けて。
パシッ!パンッ!
なので、飛んできた裏拳を左手で逸らして、右手でカウンター。
軽い裏拳をおっさんの鼻っ柱に当ててやる。
第三ダンジョンセンターから一切の喧騒がなくなり、薄く流れていた有線がハッキリと聞き取れる。
自分の軽く当てたカウンターで思わず尻餅をついたおっさんは鼻から流れる鼻血をそのままに呆然としていた。
「て、テメェ……死にたいらいしいな」
「それ、さっきも聞きましたよ」
「ここじゃ目立つ……ダンジョンの中で殺してやるから付いてこい」
「え?付いていく義理なんてないんですが?」
「オマエには無くてもこっちにはあるんだよ」
「自分には無いんですが?」
「逃げるならそれでもいいぜ?その代わり、オマエの親兄弟を先にやっちまうからな」
「あ?!今なんて言った?!」
自分でもわかっている。ただの挑発だってことは。
しかし、でもダメだ。
その言葉はダメだ。
本当にダメだ。
「上等だよ!オッサン!」
熱くなった自分の中の冷静な部分が警笛を鳴らす。
落ち着け、落ち着けと。
どうやら目の前のオッサンは有名人みたいだし、自分と一緒にダンジョンへ入って、
だから殺すのは無しだ。
今回のところは一緒にダンジョンに入って痛めつけて、恐怖を植え付けるだけにしないと。
自分がやりすぎないようにブレーキをかけていると緊張感でピリピリとしたダンジョンセンターに能天気な声が響き渡った。
「いよう〜っ!【
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