轟さんの悩み事的なアレ
轟さんの悩み事的なアレ ①
なんだろう、最近妙に観られている。
こちらを探るような視線や、畏怖するような恐れが混じったような視線だ。
受付のお姉さんの視線はあえて無視とする。
自分の位置からは少し離れた場所からチラホラと伺うような視線。
目線を合わせると直ぐに逸らされる。
自分は何かしたのだろうか?
一応さりげなく自分の身だしなみをチェックする。
安物の防具とワーキングマンで買ったカーゴパンツとこれまたワーキングマンで買った編み上げの安全靴。
至って普通の探索初心者がするようなモブ装備なんだけどな?
前世でも一時この視線に晒されたこともあった。
その時もどうとも出来ずに時間が過ぎればなくなったので、今回も時間を頼りにしてみるしかないか。
考えたところで始まらない。
今日も自分は視線を探ることじゃなく、ダンジョンに探索に来たのだから。
今日中には二階層のマップ作成も終わるだろう。
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18時。
いつもの受付のお姉さんに戦利品の査定と買取をお願いする。
一人で探索した時は結構な金額を受け取ることができる。
お金はあるけど、汗水垂らして受け取るお金は達成感が違う。
心からありがたいと感じてしまう。
最近の受付のお姉さんはやたらと自分と食事に行きたがる。
以前に1回だけ食事に行ったのだが、何をとち狂ったのか、未成年である自分を個室の居酒屋へ連れ込み、自分に酒を飲ませようとしてくるのだ。
しかも、必死に。あれは捕食者の眼だった。
その時はなんとか宥めて、空かして、逆にお姉さんに酒を飲ませまくって、お姉さんを潰してダンジョンセンターに置いてきた。
それからはお姉さんの誘いは一回も受けていない。
別に前世では普通に女も抱くし、酒も飲んでいたが、今世では話がちがう。
一応、法律ってルールがあるし、未成年の飲酒はダメだってなら、それに習うまでだ。
女関係は抱くのはいいのだが、その後でゴタゴタするようなら遠慮したい。
前世からそうなのだが、自分には圧倒的に女心ってやつが理解できないので怒らせてしまうことが目に見えているのだ。
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お金も受け取ったし、あとは帰るだけ。
周りの視線は変わらずだが、気にした所でどうしようもないので気にはなるけど、気にしないようにして帰る事にする。
すると自分とは離れた場所から20代半ばくらいの探索者が真っ直ぐ自分を見ながら歩いてきた。
彼は少し緊張しているのか、顔がこわばっている気もするが、生まれつきだったら悪いので、触れずにいよう。
その探索者が自分の前まで来ると少し大きめの声で話しかけてきた。
「お、オマエが鉄壁を負かした
目立ちたく無いのに勝手に目立ってしまうのはどういう事なんだろうか?
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