感情はログに記録されない
海星めりい
感情はログに記録されない
燃え残る
装甲片の記憶には
仲間も敵も
ただのパーツと
割り切るしかない
壊れたら
修理すればと笑うけど
心には
予備パーツなど
もう残ってない
無言なる
操縦席の
狭ささえ
今は居場所と
思える夜
笑い声
交わる空に
弾光が
平和を知るに
遅すぎた春
夜明け前
ステルス塗装の静けさに
鼓動のような
冷却音が
胸を打ち抜く
「大丈夫」
その言葉こそ怖かった
無理をして
笑う癖には
誰も気づかず
静寂に
足音ひとつ
響きおり
鉄と火薬の
祈りにも似て
弾丸と
チョコを同じポーチに入れ
笑う君
どちらが重い?
聞けずじまいで
砲塔を
越えて見上ぐる
夜の星
届かぬものと
知りつつもなお
白線を
越えて見えた
空の色
今日は少しだけ
優しかったね
感情はログに記録されない 海星めりい @raiki
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