魔術師姫
シャルディア·N
プロローグ
「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデーディアシルファリア、ハッピーバースデートゥ」
テイスト二ア大陸の東側の小国・リースの城の中の大広間に誕生日を祝う歌が響く。今日は末っ子で第一王女であるシルファリアの誕生日で今まさに誕生日会の最中である。
「シルファリアお誕生日おめでとう」
少し堅めに祝いの言葉を述べたのは第一王子のウィリアム。この国の次期国王で、長く伸びた銀髪を後ろでまとめている水色の瞳で知的で落ち着いた雰囲気が漂う10代後半くらいの美青年だ。
「シルフィーお誕生日おめでとう。お兄ちゃんお前の誕生日祝えて本当に嬉しいぞ」
次にやんわりと嬉しそうにお祝いの言葉を述べたのは第二王子のシリウス。ウィリアムとは反対に明るそうな雰囲気な漂う15歳くらいの青年で、金髪でやや丸こっくウェーブがかかった髪型で青色の瞳を持つ。ちなみにシルフィーとはシルファリアの愛称である。
「シルフィーお誕生日おめでとう。」
お祝いの言葉と言って微笑みかけるのはシルファリアの母親でこの国の王妃のエルファ。30代半ばくらいの優しそうな風貌が漂う金髪の美人で水色の瞳を持つ。
「お誕生日おめでとう」
短くそうお祝いの言葉の言葉を述べたのはシルファリアの父親でこの国の王のゼルドだ。40代くらいでいかつい顔をしていて瞳は青色。髪色と同じ銀色の髭が長く伸びている。そのせいか座っているだけで威圧感が半端ない中年だ。
それに続いて数人いる使用人が「おめでとうございます」「姫様おめでとうございます」と言う。
「父上、母上、兄上そして使用人のみんなもありがとうございます。」
ややゆっくりと感謝の言葉を述べたのは今日が誕生日で誕生日会の主役・シルファリアだ。長めの薄ピンクの髪に、くりくりとしたエメラルドのような緑色の瞳がいかにも愛らしい。この時、シルファリアは幸せだった。嬉しかった。家族や使用人のみんなに誕生日を祝ってもらって。
全員が祝いの言葉を延べ終わると、使用人以外がご飯を食べ始める。
何分か経って
「そういえば、シルファリア様は将来どこに嫁ぐんでしょうか」
ふと使用人の1人で若い侍女がそんなことことを言う。
「気が早いぞ。まだ3歳だぞ」
それを聞いたウィリアムはパンを食べながらそんなこと言う使用人を冷静になだめる。
「まあそうですけど。こんなおかわいいのでふと気になったしまって」
先程の使用人がてへっとしたかんじて申し訳ございませ~んと謝る。
「どうだろうな~。普通に考えたら隣国や周辺諸国どこかだと思うがもしかしたら大国の王子に見初められちゃったりしてな」
話を聞いていたらいしいフィリップが冗談めいていう。リースの隣国や周辺諸国はどれも小国や中堅国ばかりだ。
「大国って一体どこのだ」
少し呆れたようにウィリアムがフィリップに尋ねる。
「え~とっ。イーガストとかシーゼルフォルトとかでしょうか」
「ありえん。イーガストならまだしもシーゼルフォルトは西側だぞ」
西側と東側は仲が悪いわけではないが西側は、ほとんどは西側は西側で東側は東側にいる者同士で結婚する。それで十分国や経済は回るからだ。
「ですよね~」
フィリップの回答にウィリアムがまたもや呆れる。
「まあでも、俺はシルフィーが幸せならどこでもいいんですけど」
そう言って席を立ちシルファリアの下へ向かい頭を撫でる。シルファリアはよくわからないといったかんじできょとんしている。
「シルフィー、お前いま幸せか?」
フィリップがシルファリアの頭をなでながら質問する。
「はい。幸せです」
「ならよかった」
シルファリアも今度は質問の今がわかり笑顔で答える。フィリップがシルファリアに笑いかける。すると次の瞬間、信じられない事が起きた。シルファリアの手の前に魔法陣が浮かび挙がった。そこから大量の水が飛び出す。それがフィリップに直撃してフィリップが水圧により壁側に叩きつけられる。そして水の勢いはとまりフィリップが下に落ちて動かなくなる。
「何事だ!」
「シルファリア様がフィリップ様を吹き飛ばして」
その場に混乱に陥り
「シルフィー、あなた…」
エルファを口を開けたまま呆然としている
「とにかく医者を呼べ。フィリップの治療が最優先だ!」
ゼルドが指示して、すぐさま使用人が医者を呼び応急措置をする
「さっきのは魔法か?魔力を宿していたのか?しかしこの年で女でしかもあの威力は前代未聞だ!それにここは東側だぞ!」
信じられないと言うウィリアム。さすがのウィリアムを驚きを隠せない。
「シルフィー…」
母親を始めとする周囲の目が一瞬で化け物を見る目にかわり、自分でもなにがあったかよくわからないシルファリアは困惑する
「誕生日会は中止だ。シルファリアは別棟に隔離しろ!」
ゼルドが再び指示をして、使用人に魔力を封じる道具で拘束され別棟に連れて行かれるシルファリア
「父上、母上、兄上なんで…」
周囲の態度の急変に理由が分からず泣き始めるシルファリアだった。
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