第1節/連鎖⑦

連鎖⑦

ケータイショップ店員:清島眞琴の場合




「要は、何でこんな現象をこの世で生きてる自分らが無意識にとはいえ、人にねえ…。結果として、それは広げていることになるんだから…」



浅原さんの顔は見えない。

でも、きっとつらそうな顔だよ。

私のこと、実際、この人のせいじゃないだろうし…。



でも…、ここまで聞いたら、肝心なことを確かめなくっちゃ。



***



「あのう…、じゃあ、浅原さんもそうだったんですか?今みたいに人に見せる前には、人のを見た…。その過程を踏んでなんですか?」



私は返ってくる答えが恐かった。

で…、カレからのアンサーは私の恐れていたものだった…。



「いや、僕は人の顔は見ないでだった」



彼からのリターンはやはりそう言うことだった。

なんか、私の尋ねた理由がわかったらしく、浅原さんのスマホ越しの声、申し訳なさそうなトーンだった。



ふう…、なんてこったい!



***



私はつくづく思った。

ランダム…。

誠もってさりげない、人畜無害なこの4文字を、こんなに忌々しく感じたことないって!



あーあ、これで、”規則性”は全く根底崩れじゃないのよ…。

その意味するところは、対処の糸口なし…。

こういうこってしょ、まったく…!



***



「…ここで、キミを巻き込んでしまった自分が言うのはちょっとだけど…。肝要なのはさ、それこそ冷静に向きあう気持ちを持ち続けることだと思えるんだ。その結果として、何でこんな現象が起こったのかって理由が見えてくるかもしれないから…」



「はい…」



私は力なく返事した。

彼はそれを受け取って、”次”のアプローチなのだろうけど…。



「今現在、僕を含めて6人、定期的に会ったりして情報交換は継続させてるんだよ。この際、君もその輪に入らないか?もしかすると、こうなったのが一番最近の清島さんこそ、何かを見出せるかもしれない。細かいことでもお互い情報共有して、知恵を出し合っていかないか?」



「ええ‥。でも、今日知ったことはあまりにもショッキングだったんで、まず頭を整理してみたいんです。今のお話の趣旨はよくわかりました。…しばらく、考えさせてもらってもいいですか?」



「もちろん!じっくりしかないしね、何しろ…」



「…」



この日はここで終わりとなったわ。

彼とは時間にして約1時間近かったかな。

とにかく衝撃的な1時間だった。



それこそ、一生忘れない1時間になるんだろうね…。






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