第1節/連鎖⑥

連鎖⑥

ケータイショップ店員:清島眞琴の場合




「…」



彼は無言だった。

私の取り乱し方は結構なもんだったが、この人、それは読み込んでたみたい…。



「ゴメンなさい…。つい、私…」



「こっちこそ、清島さんが平静を保ってて、気丈なもんだから、乱暴に言っちゃった。申し訳ない」



「ううん…。…浅原さん、言っちゃってください。それ以上のことって、一体何なんです?」



私はこれを聞くの、本当はやめたかったよ。

怖いって、ハンパなく。



でも言って!

それ何なのか…、いっそ、ズバッときて!




***




「…あのさ…、実は、これまで君のように接した人たち…、正確には君で7人目なんだ。ああ、その中には男性も2人いるし、年齢も住んでる場所も様々だよ。出会ったシチュエーションも、みんなバラバラ。まさしく、すべてに渡ってランダムな訳で…。でも、実際にその何人かは、次の段階に入ってるんだ」



次の…、段階…!

なにそれ…?

心臓の鼓動、もうマックスだし‥。

冗談抜きで飛び出しそうだって、心臓…。



「ふう‥、その何人かは、自分でもあの世の顔を誰かに見られてるんだ。つまり、僕みたいに無意識のうちに、いつか逝ったあとの顔を現世で…、この世界で生を受けてるのに、そんなもんを作ったか、未来からひっぱりこんじまった。それを、これまた本人の意図しないところで独り歩きされちゃって…。言ってみれば、スパイラル、連鎖、シグナル・リレー…、こんなところなのかもね」



「!!!」



もう、この時の驚きったら、浅原さんの例の顔とご対面時の域超えてたって…。

私のいつか死んだ後の顔なんか、人に見られたくないー!






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