第15話 突然の誘い

 その後も少しだけ話をした、私たちと団長さんたち。一応私は今、一般住民として街で暮らしているからね。今回の詳しい調査のことを、詳しく聞くことはできなかったけれど。


 騎士団長たちは、突然現れた魔獣のことや、今回のことと前回の事件が繋がっているかもしれないこと。そして、その原因が分からないうちは森は危険だと判断し、当分の間、森に入る時はなるべく護衛をつけて入るよう、街で知らせを出すって。まぁ、そうなるでしょうね。


 私たちには、これからどうするか。一緒に街まで戻るか聞かれたけれど、別に今回くらいの魔獣だったら問題なし。まだいろいろ細かく奴を解体して、素材を回収しないといけないから断ったよ。騎士団長さんにはかなり心配されたけど。


 騎士団長さんの心配は、別れる間際まで続いたんだ。


「本当に大丈夫か?」


「はい、問題ないです。騎士団長さん達は、早く街へ知らせに行ってください。もしかしたら 今も、森に入ろうとしている人たちがいるかもしれないから」


「本当に?」


「お前なぁ。大丈夫だって言ってるんだから。それに彼女には立派な護衛だっているし、彼女も相当の実力者だろうから、本当に大丈夫だと思うぜ。だけどソフィア、危ないと思ったら、すぐに戻ってくるんだぞ。そいつらに乗せてもらえばすぐだろう? 女の子が怪我なんて、そんなのダメだからな」


「はい」


「よし! じゃあユアン、行くぞ。彼女の言う通り、早く街へ知らせないと。それに調査の続きもしないといけないからな」


「……ああ。ソフィア、気をつけて」


「はい! 騎士さん達も気をつけて」


 そうしてようやく、自分たちが乗ってきた、スプリングゴーストという、とても速く走る馬のような魔獣のところへ向かった、騎士団長さんたち。

 だけど、騎士団長さんは乗る前に一瞬動きを止めると、なぜかすぐに私の方へ戻ってきたんだ。


「ソフィア」


「はい、何でしょう?」


「実は君に大事な話しがあるんだ」


「はい?」


「だが今は、調査でどうしても時間が取れない。だから、ひと段落つき次第、話をするために君を私の屋敷へ招待しようと思っている。追って手紙を送るから、ぜひ来てほしい」


「え? あの……。どういう?」


「ユアン! 何してるんだ!!」


「今行く!! それでは」


 勝手に話しを済ませるとササッと戻って行って、スプリングホースに乗り、行ってしまった騎士団長さん。急に変なことを言われて考え込む私。


「ねぇ、今の何だと思う?」


『さぁな?』


『大事なしと言っていましたが』


『しっかり話したの、今日が初めてだよね? この前はただの質問男』


「そうよね? 私が早くお礼に行かなかったのを、実はやっぱり怒っていて、その話しをしたいとか?」


『違うんじゃないか? さっきその話しをした時、気にしてるって感じじゃなかったぞ。なぁ?』


『ええ、そうですね。それより今回のこと、ソフィアを残していくことを、かなり心配していましたし。怒ってるって感じではないかと』


「じゃあ何かしら? 私、自分でも気づかないうちに、何かやらかした? もしかして、元貴族ってバレたとか!?」


『それもないんじゃない? バレてたら、ソフィアの話しを聞いた時に、匂いのことも聞くはずでしょう? 匂いを嗅ぐ変な令嬢ってさ。でも、最初の時、たくさん質問してきたって事は、知らなかったってことだと思うんだ』


「変な令嬢って何よ。でも確かに、あんなに質問してきたって事は違うかしら? じゃあ本当に何かしらね。はぁ、あんまり行きたくないんだけど。でも手紙までよこすって、行かないとダメよね」


『まぁな』


『ダメでしょうね』


『ボクは関係ない』


 関係ないって、私を見捨てないでよ。はぁ、あんまり貴族と関わりたくないんだよねぇ。でも、こうなったら行くしかないか。仕方ない、この事については後で考えよう。今は、こっちをやらないと。


 この後、私は気を取り直して、ホブゴブリンを解体し素材を採取。他のゴブリンもグレイルたちに手伝ってもらいながら、全て解体して、マジックバックに入れたよ。


 マジックバックっていうのは、いわゆる魔法のかばんで。それぞれ容量にもよるけれど、見た目は普通のバッグ、だけど中は広大な空間につながっていて。荷物をたくさん入れても、普通の何も入っていないバッグみたいい、軽々ともてちゃうの。

 

 中に入れたものも時間の影響を受けにくくて、食べ物なんかも腐りにくいから、とっても便利なアイテムなんだ。


 私が家を出る時、父様と弟が心配して、私に持たせてくれたの。容量もかなりあるから、今回のゴブリンたちくらいなら軽々と入るんだ。


「よし、じゃあ今日は帰りましょうか。いろいろあったし、みんなも警戒しないといけないしね。また今度遊びに来た時に、匂いを取らせてくれるか聞いてくれる?」


『……しかたないと』


『美味しいお菓子を持ってきてくれってさ』


「ありがとう!! たくさんお菓子を持ってくるね!!」


『みんなごめんね。ホブゴブリンのせいで、また匂いを取る事になっちゃって』


「それじゃあみんな、気をつけてね!! またね!!」


 帰りはグレイルの背中に乗り、森の中を走り始める。こうして私たちは家に帰ったんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る