第14話 不思議な出来事とみんなのジト目

「え? そうなんですか?」


 私が騎士団長さんたちから聞いた話は、ほとんどが予想外の内容だった。


 確かに、向こうの森からゴブリンが逃げてきていたらしい。そこまでは私の予想通りで、やっぱりねと思ったよ。だけど、ここからがちょっと……。今回のことは、この前の魔獣の怪我事件と、関係があるかもしれないっていうの。


 いや、ゴブリンがこっちに逃げてきた時点で、関係があるのは確かなんだけど。ただ、そんな簡単な事じゃなく、もっと深く関わっている可能性があるんだって。


 まず、トールたちの魔獣の事件についてだけど、詳しい内容はこうだった。トールたちの契約魔獣も、グレイルたちと同じように、その力に差はあっても、魔獣の気配を感じ取ることができる。


 だけどあの事件の時は、今まで感じていなかった魔獣の気配がいきなり現れて。しかも、それがトールたちのすぐ側だったらしく。どんな魔獣か確認する間もなく、その魔獣と遭遇することに。


 現れたのは全てB級の魔獣で。中にはA級に近い力を持つ、ヘルハウンドという、黒い炎をまとっている大型犬型魔獣までいたっれ。

 ただ、トールたちもそれなりの実力があるから、急な襲撃にも対応でする事はできた。だけど……。


 ここでまた不思議なことが起きたんだ。何故か現れた魔獣たちは、トールたちを襲わずに、トールたちの契約魔獣だけを襲ったんだって。

 だから私の所へ来た時、トールたちはかすり傷程度で、魔獣たちはあんな大怪我をしていたんだ。


 その話しを聞いた騎士団長さんたちは、すぐに森の調査を開始。だけどトールたちが倒した魔獣達以外、森にいないはずの魔獣を見つけることはできず。

 もちろん、突然魔獣が現れた場所にも行ってみたけど、何もおかしな事、おかしな物を発見する事もできず。


 そにため、さてどうするか、と考えていたところに。こちらの森へ、ゴブリンが逃げてきたという情報が入入り。

 こちらの森のゴブリンと向こうのゴブリンが出会い、群れが大きくなってしまう可能性があったため、調査を一時中断。こっちの森に、ゴブリンの討伐しに来たんだ。


 だけど、いざゴブリンの討伐を始めた時、問題のアレが起きた。そう、トールたちの時と同じように、突然ゴブリンが現れたんだ。

 そして、その中にはゴブリンシャーマンまでいて、戦闘が少し長引いてしまい。そのうち、戦っていたゴブリンの何体かが、私たちの方へ逃げてきてしまったみたい。


 ん? 何体? 今の言い方だと、数体って感じだけど。


「何体とは、どれくらいの数ですか?」

 

「ああ、10体くらいだったか」


「だな。しかもみんなただのゴブリンだ。上位個体はいなかった」


「じゃあ、私たちの所へ来たのは? 他にも逃げたとかではなく?」


「それが……。おそらくそちらの契約魔獣が気づいているかと」


「そちらのって、グレイルたち?」


 私はグレイルたちを見た。


「何か知ってるの?」


『まぁな。今、突然魔獣が現れたって話しを聞いたろ?』


『確かに最初、こちらに逃げてきたゴブリンは、10体くらいだったのですが』


『途中で増えたんだよ』


「途中で?」


『そ、突然現れたって事』


 まさかのまさか。こっちのゴブリンも突然現れたゴブリンだった。しかも騎士団たちの方よりも、数も力も上って。こっちはただの女の子と、3分の1は子魔獣だったのよ。突然現れて襲うのなら、強い騎士団の方でしょう。


「ただの女の子と子魔獣の方を狙うなんて。まぁ、自然界的には弱い方を狙うのは、当たり前の事だから、仕方ないのかもしれないけど。でもさぁ、それにしたって、それで私の宝物はあの状態になったし……」


 ちょっと文句が止まらなくなってしまった。ん? あれ? みんなどうしたの? 文句を言い終わってみんなを見ると、グレイルたちにはジト目で見られ。そして魔獣たちからもジト目で見られ。騎士団長さんと副団長さんには、ポカンとした顔で見られていたよ。


 え? 何? 私何か言った? ただ文句を言っただけなんだけど。と、何故か今度は笑い出した副団長さん。


「くっ、ただの女の子か」


「そうだな。君の言う通りだ。騎士団や冒険者として活動してしていない女性を狙うなんて。しかも今回はゴブリンだ。もしも捕まっていれば……。突然現れたゴブリンは別として、私たちが逃しまい申し訳なかった」


「……お前、さっきの様子を見てそれなのか?」

 

「何がだ?」


 笑うのをやめて、まじまじと団長さんを見る副団長さん。その様子を、またジト目で見るグレイルたち。本当にみんなどうしたの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る