8)俺んとこ来ないか


「お、サルがいたぞ。」


20メートル程先にサルの魔物が歩いている。


「よし、アイリス、風魔法っていつもの斬るやつ以外もできるんだよな?」


「うん、色々できると思う。」


俺も魔法系ステータスが上がったおかげでなんとなくわかるようになった。


ただ、俺は魔法は使ったことがない。


使おうとしたが使えなかったのだ。


風魔法を使おうとすると能力値は本来の俺にもどるから、それも関係してる。

アイリスにコツを聞いても、ギュオーンとか擬音語しか返ってこないし。


「じゃあ、動きを封じるような魔法で、あいつを動けなくできるか?」


「わかった。」


アイリスは手を向ける、もう見慣れた光景だ。


いつもはそこから風の刃が飛び出るのだが、今回は風の膜のようなものが出た。


まっすぐにサルの方に飛んでいき、覆い込んで浮かせてしまった。


なんという馬力だ、魔法というものは本当に恐ろしい。


「ありがとうアイリス。」


俺が近づこうとすると、


「まって、まだ。」


そう言ってアイリスは空いている左手も前に出し、捻るような動作をする。


すると、風の膜で覆われた空間の中に何か無数の竜巻的なものが起こり、サルの体表を切り刻んでいる。


苦笑いでそれを見ていると、アイリスがドヤ顔で話しかけてくる。


「できた。」


何ができたんだ。


俺の悪い影響なのか、だとすると今後は行動を考えないとな。


よし、サルに話しかけよう。


(おい、俺と一緒に来ないか?)


応援団の団長みたいになってしまった。


(グゥッ!?グゥゥゥゥ、、)


なんか、うな垂れてしまった。


好きにしろってことなのか?


俺はサルに近づいていった。


そして、触れる。


『ワイルドモンキーをテイム』


よっしゃ、やっと三体目だ。


「よし、サル、立てるか?」


『テイムモンスターワイルドモンキーの名前が、サルと設定』


おぉ。


そして血塗れのサルが立ち上がる。


テイムモンスターってほんと従順なんだよな。


言う事聞かせるスキルとかはなかったけど、意思疎通とかでいつでも命令はできるし、言う事きくのはある程度前提なのかもしれない。


「安直だけど、お前はサルだ、よろしくな。」


「グォーン!」


変な鳴き声。


「次は、試しにお前らだけで今したみたいにテイムして来てくれ。俺は水場とか食べ物を探してみるよ。」


「わかった。リンは1人で大丈夫?」


「多分な、お前ら全員の能力使用してるからそれなりには戦えるだろ。意思疎通もあるしな、何かあれば教えてくれ。」


そう言って川がありそうな方に歩きだす。


魔物が出てきたら走って逃げる。


力と敏捷が連動しているんだと思うが、アイリスの敏捷に加えてサルとかモンちゃんの力を加えると一気に移動速度が速くなった。


これは快感だ、ただ努力もなしにこんな力が手に入るのは何かひっかかるものがある。


努力は今からしていこう。


考え事をしているとアイリスから着信があった。


(リン、捕まえた魔物にサルが触るよ。見ていてね。)


(りょうかい。)


俺はアイリスの視点を意思疎通スキルで共有する。


自分の視界の少し上に映像が出てくるような感じだ。


サルが全長4メートルぐらいありそうなでかいヘビに触れようとしている。


触れた。


『ポイズンスネークをテイム』


おぉ!


直接触れなくても大丈夫なのか。


これは嬉しい、ここから忙しくなりそうだ。

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