ストロー飲酒のすゝめ
ストローで酒を飲むのは地雷系の専売特許じゃない。
リアルの知り合いと初めて飲みに行くと、結構な頻度でストロー飲酒に驚かれ、「大丈夫……!?」と心配される。確かに車椅子ユーザーの飲酒シーンはあまり見たことない物かもしれない。僕も自分以外の人が飲んでるのを見たことがないので……。
医学的根拠は全くないが、あくまで自分の体感として酔っ払った時の脳のデバフが身体にとって丁度いい時がある。体の強張りが落ちついたり、反射による不随意運動が減って身体のコントロールがしやすくなる感覚だ。意思に反して力が入っている状態から脱力し、一種のチルタイムが起きる。
普段は自分の頭の前の方にいる運転手が、少し後ろに引っ込むような感じ。自分の後ろに自分がいて、その時が一番身体の制御ができる。思考の制御は全くできないのがデメリットではあるけど。
電動車椅子は法律上は歩行者に区分されるので飲酒運転で摘発されることはないと思うが、外で飲む時はほどほどの量でセーブすることを意識している。帰れなくなったら即座に社会的な死を迎えることを確信しているからだ。
それでも、居酒屋やバーに行くとつい調子に乗ってめちゃくちゃ飲んでしまう。レモンサワーもハイボールも日本酒もイェーガーマイスターも全部ストローで飲み、上機嫌で帰るかローテンションで終わるかの2択だ。現状は、なんとかリバースをせず賭けに勝ち続けて事なきを得ている。自分の身体でギャンブルをするな!
だから、泥酔する時は基本的に家飲みだ。基本的に平日は飲まないようにしている。100均で買ったストロー付きの容器にチューハイや日本酒を入れて、ダラダラお菓子をつまみながらゆっくり飲んでいく。休日のこの時間が、最近の至福のひとときだ。
家でのストロー飲酒は簡単に見えて奥深い。これはストロー飲酒ビギナー向けのライフハックなのだが、家でソーダ割りやカクテルを作って飲む時は、よく混ぜてから飲んだ方がいい。普通のグラスだと上から順に減っていくが、ストローだといきなり底の部分から口内に飛び込んでくる。ちゃんと混ぜないといきなり原液を飲む場合もあるので、要注意だ。混ぜるのが億劫な時は、炭酸水を先に入れてからお酒を入れるといいと思う。
子供の頃にスルメや丸干しなどの塩辛いものをおやつにしていると、家族から「将来は酒飲みか?」とイジられたことを思い出す。父親が酔うと陽気になってしつこいほど貪欲に笑いを取りに行く事もあり、酒はなるべく飲まないようにしようと思っていた。
すいません、社会人になって確実に飲酒量が増えてます。酔った時の絡み方まで、ほぼ父親と同じだ。血の争えなさを感じながら、「酔って怒りっぽくなるよりはマシでは??」みたいな開き直りもしたくなる。
昨日も残業に耐えきれず、酒を飲んでしまいました。将来的な肝臓の数値に怯えながら、健康診断で問題が一切ないことに毎回安心する自分がいる。ありがとう肝臓、度量の広い臓器。なるべく酷使はしないから、耐えてくれ。
鬼ころしをストローでいくようなタイプにはならないから。
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