第3話 彼女、危険かも
学校の教室――俺の前の席には、前島さんの姿があった。
さらさらの髪を揺らし、俺の方へ振り向く。
「おはよ、佐藤くん」
「おはよう」
こうして話せるだけでも嬉しい。
俺の破壊された脳と心が回復していくようだ。
【三日後】
前島さんと過ごす日々が増え、二人きりになる頃も多くなった。
そんな放課後の誰もいない教室。
「どうしたの、前島さん」
「佐藤くん……キミのことが好きなんだ」
「え、マジで」
「うん。付き合ってくれない?」
「もちろんだよ!」
俺と前島さんは付き合うことになった。
こんなに早く恋仲になれるなんて嬉しいっ!
その日に教室で“行為”に至り、俺は前島さんと致してしまった。
もうこれでトラウマとはオサラバだ。
そう思っていたが。
更に三日後。
教室を出たところで同じクラスの女子が俺に話しかけてきた。
「あの、佐藤くん」
「ん?」
この茶髪ロングの女子は――確か、
「前島さんなんだけど、気を付けたほうがいいよ」
「え」
「彼女、危険かも」
それだけ言い残し、稲辺さんは去った。
危険かも?
どういう意味だ……?
ま、まさか――またパパ活じゃないだろうな!
そんなわけない!
前島さんが、そんなことをするはずがない。
俺は……彼女を信じたい。
◆
「前島さん、確認したいことがある」
「ん~?」
「お金に困っていたりしないよね……?」
「あ、もしかして白崎さんみたいに変なことしていると思った~?」
「……その、ごめん。疑いたくはないんだけどさ」
「わたしを信じて。大丈夫だから」
ハグをして、優しい声でそう言ってくれる前島さん。……きっと、大丈夫だ。
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