第2話 パパ活男に寝取られた俺の人生

「佐藤くんより気持ちい……」


 衝撃的な現場を目撃して、俺の脳はぐちゃぐちゃに破壊された。

 よりにもよって、俺の家の前でキスを……。


 あの男は、誰なんだ。

 あのスーツの男は……。



 次の日。



 俺は白崎さんに問い詰めた。


「えっ、見てたんだ」

「ああ、君とスーツの男のキスシーンをね!」


 正直、今でもあの光景が頭から離れない。

 死ぬほど悔しい。

 でも、まだ信じたい俺がいた。


 だが。



「ごめん、佐藤くん。実は……」



 白崎さんは『パパ活』をしていたと自白した。


 は?


 なんだよ、それ。


 パパ活だと……?

 

 どうやら、白崎さんはその相手と恋愛関係にまで発展していたようだ。


 ――終わった。


 ◆


 俺はしばらくショックで授業に身が入らなかった。白崎さんは、不登校になり――学校に来なくなった。


 こんな終わり方って……。


 気づけば秋。

 傷心癒えぬ、ある日。


 前の席の前島さんが優しく声をかけてきた。


「大丈夫? 佐藤くん」


 その一言のおかげで、ずっとモノクロだった世界がフルカラーになった。


 前島さんは、ずっと俺のことを気にかけてくれていたようだ。


 ――放課後。


 前島さんは、その小柄な体で俺を優しく包む。

 こんな天使がいたなんて……。

 人生に死ぬほど絶望していた俺だが、まだがんばれる気がした。


 下校すると、自然と手を繋げていた。


「前島さん、ありがとう」

「ううん。佐藤くん、ずっと元気なかったから気になって。わたしが面倒見てあげるから、一緒に頑ばろうね」


 泣けるくらい優しい言葉と笑顔。

 俺は、まだ生きたい。


 ・

 ・

 ・


【夜中】


『――ぱんぱんッ』


 うあああああああああああッ!


「白崎さんの悪夢をまた……」


 前島さんは大丈夫なのだろうか。

 もう寝取られたくない。

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