第3話 次はいったいどうする?

「え?なに?!なに?!」


「ごはぁっ!」


男たちが口から血反吐吐いてる。


「もういいよ。お前」


女子を引き剥がしてパンツを履く。

男たちの前に歩いてきた。


鋭い目を俺に向けてくる。


「このシャンデリア、早く退かしてやがれ」


「え?やだよw俺がなんのためにシャンデリア落としたか考えろよw殺すためだよw」


「てめぇ……ぶはっ!」


男の顔面に蹴りを入れた。


「このままいたぶってやるかw抵抗できない相手ボコるの気持いいw」


「げほっ……くそ神父が……」


「神父だし悪は滅ぼさないとな~」


アイテムポーチから爆薬を取りだした。


「なんだ、それ?」


「え?爆薬。お前の胃にでも詰めようかなと思ってさ」


「な、なにをする?!」


「内側からぼーんと、爆発するんだよ。いやー、どんな綺麗な花火を見せてくれるかなー、くふふ」


「や、やめろ。俺たちはシャンデリアで潰されてる、そう長くないだろ?大人しく、死なせてくれ。な?な?頼むってー」


「俺本職はヒーラーなんだよね」


「え?」


「死ぬか死なないかのところでギリギリ生き長らえさせながらいたぶってやる。最後は人間花火をドーン♡」


「あ……あう……」


「どうせ死ぬんなら、最後まで楽しませてくれよ?あはは」



男たちふたりは血や臓物を撒き散らしながら派手に死んだ。


「くふふ……素敵な光景だなー。花火も色々あるけど人間花火が一番キレー♡」


女子は俺を見てドン引きしてた。

でも、感謝はしているようだ。


「あ、ありがとう。助けてくれて。でも、最初からシャンデリア落とせば良かったじゃない。なんであんな演技を?」


「そんなことしたら、勿体ない。お前の泣き顔を見たかったからさ。正直絶望してたでしょ?」


「ほーんと、最悪。サイコパス、ドS、鬼畜、変態」


げしげしと俺のスネ当たりを軽く蹴りつけてくる。


ついでに、考えられる限りの罵倒をしてきた。まぁ、俺もそれは織り込み済みだ。俺みたいなやつ相手にするのはさぞかしストレス溜まるだろうからな。


「はいはい。褒め言葉ね」


「もう、ほんと終わったかと思ったよ」


力なくその場にペタンと座り込んだ。


「ふぇぇ」


「で、お前はなに休憩しようとしてんの?」


「え?」


「お前、俺に迷惑かけたんだから。後片付けくらい手伝えよ?」


「うぅ〜分かったわよ。っていうか、あんたこんな罠仕掛けてたのね、他にもあるの?」


「全部で4545個くらい仕掛けてる。いつ敵襲があってもいいようにな」


「へ?」


顔が真っ青になってた。


「だからあんまり下手に歩かない方がいいよ?もしかしたら違う罠が発動しちゃうかもよ」


「ちなみに他にはどういうのがあるの?」


「水責めトラップだったり、吹き矢トラップだったり、地下に落とし穴掘ってたり、いろいろあるよ。女用にスライム風呂もあるけどな」


「マザーは知ってるの?」


「俺しか知らない。他の人はちゃんと聖職者してるからこんなやましいことしないよ」


片付けながら聞いた。


「お前、このあと暇?」


「そのお前っていうのやめてくれない?私にはカエデっていう名前あるし」


「で、暇?」


「ちょっとくらいなら。で、なに?ロクでもないこと頼んでくるのは分かるけど」


「ま、ついてくりゃ、分かるよ。俺や教会に迷惑かけたんだ。罪滅ぼしくらいしろよな」


「はいはい、分かったわよ」



カエデは俺の隣でポカーンと口を開けてた。


「まさか、子供たちのオモチャ買いに来るなんて」


「こう見えて孤児院に関係してる聖職者なんでね。最低限はね」


「あんたのこと見直したかも。もっとゴミクズなのかと思ってた」


「あんまりだな。これでも命の恩人だと思うけど?」


「感謝はしてるけど、あんた性格最悪だよ?その辺の悪人も裸足で逃げ出すでしょ」


ドサッ。

買ったおもちゃを教会に置いた。


「今日はいろいろありがと、じゃ」


「で、今から帰るつもりか?」


「そうだけと」


俺は紙袋の中に手を突っ込んだ。

さっき買い漁ったおもちゃのうちの1つを手に取った。

女剣士のフィギュア。たしか、剣聖とか呼ばれているやつのフィギュアだ。

剣を天に掲げててかっちよいい。


「子供たちのためにも耐久チェックしていこうぜ?くふふ」


ツンツンと、カエデの胸の部分を剣の先っちょでつっついた。


ぷるぷる震えてる。


「見直したところなのに、まぁだそんなことするわけぇ?」


「そりゃそうだろ。人様に迷惑かけた詫びくらいしていけよ、俺は被害者なわけだし」


「それでも、こんなこと要求する?」


「誠意を見せたまえよ誠意を。ははは。この剣聖の一撃をお前の中に刻んでやるからよ。ほれほれ」


「くぅ。もう付き合うから早くしてくれない?」


「今日は泊まってけよ。どうせマザーも起きないから」


「そういえばあんな色々あってなんであの人は起きないの?」


「酒に睡眠薬混ぜてたからな。朝まで起きないだろうなぁ。あはは」


「あんた、ほんと……!!」


拳をぷるぷる震わせてる。


でも、恩人には何も言い返せないんだろう。


「じゃ、ちょろーっと付き合って貰いましょっか」


こうして俺の夜は過ぎていく。


好き勝手出来るしモブって立場は最高だな。

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