ゆにこーん!~この夏、人生が大きく変わることを、私たちはまだ知らない~

ゆにこーん!【公式】

第0話 この場所に、私の席はあるのか

「ねぇねぇ知ってる?あたし面白い話見つけてきちゃったw」

「え!なになに!?」

「虹ってユニコーンのうんこなんだってw」

「えっ、だからユニコーンと虹っていつもセットで描かれてんだw」


人間って…なんでこうも、幼稚園生でも高校生でもうんこネタが好きなんだろう…。


「けどさ、うんこって1/3は腸壁なんだってw」

「ま!?まぁ…お肌もターンオーバーするし、腸もターンオーバーすんのかw」


―とはいえ、さすがスーパーサイエンスハイスクール(SSH)。

休み時間のうんこネタでもすぐに科学っぽい話になる。

私はそんなうんこ談義を聞き流しながら、次の授業の教科書を探している。


「そしたらさ、めっちゃうんこしたらめっちゃダイエットできんじゃね?」

「いや、ターンオーバーには周期があるんだからコントロールできんやろ…w まぁ便秘はダイエットの大敵だけどw てか、ダイエットしたいなら毎日いちごミルク飲むなw」

「あああ!取らないで!いちごミルクはまじでエナジードリンクだから!」

「けどそのいちごミルクの着色料、コチニールじゃんw サボテンに寄生してる虫だよw 虫ジュース飲むの?」

「は!?うそ!?むり!あげる!」

「いらないってw あたしを見習ってこんにゃくゼリードリンクにしなよw」

「えーちょうだい!」

「やーだよ!」


私の前の席にいるギャルの春野さくら(はるの さくら)と、その相棒・足立美晴(あだち みはる)は今日も絶好調に騒がしい。


足立美晴なんてリボンタイを外して完全に放課後モードだ。まだ次の授業があるのに。この子達はどこにでもいそうなギャルだけど、彼女たちもれっきとした特別選抜の理系の女子高校生。


ここは、いわゆる普通の高校じゃない。


全国に約200校ある、文科省が未来の技術者・研究者・起業家を育てるために全国から選抜された子たちが通っている。


そんな才能あふれるギャルたちの後ろで、4月に入学したばかりなのに高校デビューもできずにひっそりと陰キャポジションを守り続けている地味な女は、私、夢野小春(ゆめのこはる)。名前だけは浮かれてそうな、かわいらしい名前。名は体を表すとは…。


まぁ私でも浮かないくらい男女共に地味な子は多いけど、陽キャというか変わった人というか目立つ人は多い気がする。


そうそう、変わった人といえば次の授業は情報科なんだけど、情報科の先生がまた変わり者。今はまだ休み時間なのに、もう教卓の隣の椅子に座ってる。


この先生は休み時間にスマホでFXをしていることで有名。「教員として歩きスマホを注意しなければいけない立場だから、歩きながらFXしないために、毎回職員室には戻らずに教室から教室に遊牧民してんだ~。タイムイズマネーだからね~。ここ私立だから怒られないしねw」と言っていた。


今もスマホの画面に集中してるからFXしてるんだと思う。数人の生徒たちが面白がって後ろからスマホの画面を覗き込んでる。私もあの輪の中に入れば、今日こそ友達ができたりするのかな…。だけどタイミングが…。今から行ったら絶対怪しいよね…。なんて思いながら取り出した教科書をパラパラとめくってる。


チャイムが鳴りはじめて、生徒たちが席に戻る。

今日はこの授業が終われば帰れる。


はぁ…。早く帰りたいな。

帰ってもやることなんて特にないけど。

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