第5話:鎖の裏で交わる嘘と真実
## 第五話:鎖の裏で交わる嘘と真実
仮登録証。それは金属片に過ぎないが、レオンにとってはこの異世界での“足場”だった。
ギルドからの条件は明確だった。一週間以内に、ギルドの利益となる"確かな情報"を提供すること。
もし失敗すれば、登録は取り消される。
(いや。一週間もいらない…2日あればいい、速いに越したことはないだろうしその分評価も上がるはずだ)
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レオンが最初に向かったのは、東門に近い小さな酒場だった。
情報屋が出入りすると噂される場所。前回、外門で出会った鳥人族とドワーフの会話を《記憶再現》でなぞり、似た特徴の人物を見つけた。
「……また会ったな、坊主」
ドワーフの男が酒を片手に椅子に座っていた。
「ギルドの仮登録通ったそうじゃねぇか。ミーナを口説き落とすとはな」
「口説いた覚えはありませんけどね。交渉です」
「さて、」と言いレオンはさっそく切り出した。
「“ギルドを通さない物流”――特に、南から来るキャラバンの荷に関する噂をもっと知りたい。昨日移動中この街の情報などを集めている最中珍しい馬車があり運ばれていた物の中に混ざっていた物資の一部が妙に“匂った”んですよ」
鳥人族が一瞬視線を交わし、ドワーフが小さく鼻を鳴らした。
「……それ、金になる話か?」
「もちろん。ただし、俺がギルドに報告する前に裏が取れたらの話です。何でもかんでも告げ口する子供じゃありませんよ。これは“契約”です」
情報との交換条件として試しにレオンは昨日の門番“ディラン”の噂――収賄癖と内部での立場の悪化――について細かく語った。それも彼らが知らなかった範囲で。
「……使えるな、あんた」
鳥人族の男は地図を引き出し、南側の倉庫区画にある“閉鎖された私有倉庫”を指した。
「ここに最近、頻繁に夜間だけ荷が運ばれてる。運び手は全部、顔を隠した無言の連中ばかりだ」
「持ち主は?」
「表向きは“ルナ商会”の倉庫だが、実際は別の誰かが借りてる。名義の連鎖を追ったが、途中で書類が消えてた」
(表に出せない荷物、表に出せない依頼、匿名の借主。……ああ、これは面白い――)
レオンに笑みが溢れた。
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二日目の夜。
レオンは早速情報を得るために倉庫区画の屋根に潜み、闇の中で荷車の動きを観察していた。彼の手には、盗聴魔石と記録用の簡易魔晶石がある。
(これ出店から盗んだ安物だけど…ちゃんと機能してくれよ。)
などと思っていると倉庫の扉が開いた。
現れたのは、頭巾を被った3人の男と、その背後――足に鎖をつけられた、痩せこけた男や女が連れられていた。
(……やはり、奴隷か)
連行される途中、男が叫んだ。
「何で俺がこんなめにあわなくちゃいけないんだ!奴隷なんて都市法に反してるぞ!」
そう叫んだ男を頭巾を被った男たちが棒で叩いて黙らせた。
(おぉ~無言でここまでできるのは尊敬すら覚えるよ、でもあの叫んでくれた男のおかげで証拠は整った。)
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三日目、ギルドにて。
ミーナがレオンの差し出した記録石を受け取ったとき、わずかに瞳が揺れた。
「……あなた、これをどうやって……?」
「“偶然、倉庫区画の屋根を修理してるときに見かけた”とでも書いておいてください」
「……本気で正体を隠す気ね。あなたが見たことは重大です。奴隷取引は禁止されている。ギルドどころか、都市法に関わる」
「だからこそ、“仮登録の人間”に情報を提供させた方が都合がいいでしょう? ギルドの手は汚れず、功績は評価に変わる」
ミーナは口元を歪めた。
「はぁ……あなた、完全にこちらの考えを読んでる」
「あなたもそうでしょう? 俺が嘘で生きてきたことくらい、とっくに分かってるはずだ」
「……いいわ。仮登録、正式登録に切り替える。今日から、あなたは“蒼穹ギルド”の一員よ。
こっちはこの出来事の対処をしなくちゃで忙しくなりそうね。」
そんなことを言ってるミーナを気にせずレオンは静かに、確かな笑みを浮かべた。
(正式加入できたは良いけど、奴隷…ねぇ、)
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**(第六話へ続く)**
最後まで読んでくださりありがとうございますm(__)m
毎日物語を考えてるせいで他のことに手が回らなくなってきて困ってますw
さて今回はドワーフの男と鳥人族の男です。
①ドワーフの男はお酒がすきだぞ!特に度数が強いやつ
②鳥人族の男は上空から尾行するからばれずに尾行できる。でも長く飛べないらしいよ~
③二人は幼馴染みで昔から誰かの秘密を探ったりして遊んでいたんだ、それが今仕事(情報屋)に繋がってるんだね。
**(第六話へ続く)**
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