『ごんぎつね』の“その後”を描いた静かな追想譚。もう交わされることのない言葉、届かない祈り――。ひたすらに傷を舐め、そばに寄り添う子ぎつねと、ただ見つめ、住処のそばに埋めてやるしかない兵十。そして、静かに佇む狐の無数のまなざし――。最後には、ささやかな赦しがあるけれど、どうしようもなく胸の奥が騒ぎます。『ごんぎつね』の余韻を、もう一度。静かに染み入るお話でした。