第39話 ゲイランゲルの森を抜けよう! (1)
話が纏まったところで森を抜けるため僕達は荷物を背負って歩き出した。
ザッザッザッ・・・・
草を踏む音が響く。インリさんの魔法で方角を調べてもらい西に進む。もともとこの森にやって来る人間は冒険者ぐらいなもので、正規のルートというものがないらしい。ヨル先輩が言うには西に進めばすぐ村が見えるとのこと。
ヨル先輩の言葉を信じてかれこれ3時間ぐらい僕達は歩き続けた。しかし段々とインリさんの息が荒くなっていく、僕とヨル先輩はまだ余裕があるが一回休憩を取ることになった。
近場で休めそうな小岩を発見したインリさんは座るなり、僕達が落ちた湖で汲んだ水を一気に飲む。
ゴクゴク!とインリさんの喉から音が鳴る。
「プハ〜!生き返りました〜!」
「すごい飲みっぷりですね。言ってくれればそんなふうになる前に休憩を取りましたよ?」
「いやいや!ユウさん!あんだけ涼しそうな顔で歩いていたのに私一人だけ休みたい〜とか言えるような雰囲気じゃないですって!」
ふふふっ!と楽しそうに笑うインリさんにつられて僕も笑顔になる。ヨル先輩は相変わらず無表情に見えたが僕の能力のお陰で黄色のオーラが見えている。先輩なりに楽しんでいるのだろう。
「ちなみに、今ってどのくらいまで進んでいるんですかね〜?」
「インリさんの魔法で分からないんですか?」
「ムッ!分からないから聞いているんじゃないですか〜!魔法って便利ですけど不便ですから!」
「なんですか、便利だけど不便って」
「魔法はそういう物なんです〜!」
僕も休むために座ろうと決め腰を下ろした。
ズシ・・・・
腰を下ろしてみると違和感を感じた。なんか今身体が沈んだような・・・?不審に思い、もう一回立ち上がろうと中腰になった瞬間、ヨル先輩に腕を強く引っ張られる。お陰で僕は地面に顔面からぶつかった。
僕の運動神経が鈍いとはいえ急に引っ張られたら倒れてしまうじゃないか!と文句の声を上げようとした時
シュッッ!!!
何かが僕の後頭部にかすった。振り返ると先程僕が腰を下ろした場所には人を真っ二つにするために作られたようなとても大きな斧が地面に突き刺さっていた。
「え?ええ〜・・・・・」
もしヨル先輩に腕を引っ張られていなかったら今頃僕は・・・・・考えるだけでも恐ろしい。死にはしないだろうけど(もう死んでいるから)痛覚はしっかり感じる。それはゴーストエルフなどの実戦で分かったことだ。
「間一髪でしたね。念の為、身体に異常がないか確認してください」
「ヨル先輩のお陰でなんともありません。本当にありがとうございます。でもあれってなんですか?」
「おそらく、冒険者たちがが造った
インリさんが大きな斧に近づきしげしげと観察する。
「しかも、苔みたいなものも生えていますし、かなり古い罠なんじゃないでしょうか?でもこれだけ大きいなら何かに使えそう・・・・・私がもらってもいいですか?」
「え!?こんなに大きなものを運ぶんですか!?」
「はい!魔法で!」
インリさんが斧に手を当てると斧は光の粒子となってインリさんが触った箇所から消えていった。
やっぱり魔法って便利だよなぁと感心せずにはいられなかった。
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