第29話 悲鳴の正体
キャー!!
森の奥の方から悲鳴が上がった。ハッとし声がした方角をみる。インリさんに何かあったのだろうか?そう考えているとヨル先輩が飛び出していった。僕も慌ててヨル先輩の背中を追いかけていた。
森の中をひたすらに駆け抜ける。もう一度甲高い悲鳴があがった、今度はもっと近くで聞こえたので僕達は足を止めた。おかしい・・・人や動物の気配が全くと言っていいほどしない。ヨル先輩は警戒態勢に入って銃を握りしめた。僕もゆっくりと辺りを見渡しながら声を張り上げた。
「インリさんですか!?返事をしてください!!」
再び悲鳴が聞こえた。だけどやっぱり正確な位置を割り出すことができない。インリさんの時みたいに緑色のオーラが見えるかな?と思い目を凝らしてみるが何も変化はなかった。
困り果てた僕はヨル先輩を見た。その時だった。ヨル先輩の後ろから青白いオーラが見えた。あっという間にそれは長くて細長い人間の手の形に変わった。それがヨル先輩に襲いかかろうとする。
「ヨル先輩!!」
僕が声を掛けたのとヨル先輩が後ろを振り向くのは同時だった。振り向きながらに先輩はその人間の手のようなものに弾丸を食らわせた。
「ギャー!!」
弾丸は手のひらに見事、命中した。手は一瞬にしてキラキラとエフェクトを残すかのように消えた。が、またもや青白いオーラが見えた。今度は先程の大きさとは違い成人女性と同じぐらいの大きさになっていた。
それは、エルフだった。しかし半透明であった。髪はサラサラで地面につくぐらい長いのに気にもとめず、こちらにゆっくりと近づいてくる。その目は狂乱に、獰猛に光っていた。その気迫に膝がガクガク震えてしまった。
「ユウ、早速修行を始めましょう。このエルフが相手です」
「いやどう考えても初心者じゃ倒せない敵でしょ!?あれ!?」
だってエルフだぞ!あれ!エルフって強いんでしょ!なんかすごい魔法をブワーッて出すんでしょ!こっちでは葬送のエルフで学習してるわ!
またもや心のなかで変なツッコミが炸裂してしまった。しかしいつまでも悠長にはしていられない。こうしている間もエルフは近づいているのだから。手を握りしめ、エルフと向き合う。
「それで先輩!こっから相手を倒すためにはどうしたら良いですか!?」
「考えることも修行の一環です」
そう言うと先輩は銃と剣をこちらに投げてよこした。
「好きなように戦いなさい」
マジですか先輩・・・・
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