『ハクトとリアのその後』
「うー…髪の毛切ってもらったけど、視線をほんの少し遮るくらいが丁度よかったのに…俺、変じゃない?」
「素敵ですよ~♡」
【ギルド】に連行されたハクトとリア、紆余曲折しながらも“人間”だと証明したハクトは現在、【ギルド直属戦闘部隊】、【第2部隊】の仕事を手伝いながら実績と信用を得るために働いていた。
驚いたのは、【第2部隊】の隊長が雪乃の父親…柊白魔さんだということ、雪乃は東京へ転移したためノーカンだが、レウスの時代から生きているのが確定している白魔さんは若すぎる。
その理由は、彼が【雪女】と並ぶ希少な種族【雪男】だからである。
「本で読んだお話ですが、【雪女】に恋した殿方が、【雪女】の驚異的長寿に並ぶために雪を司る精霊の血を飲み、【雪男】になったと言われています、精霊を無理矢理傷つけたのではなく、交流を深めた精霊から申し出たとも記載されていましたね」
「叶わないと思った恋が叶った、ここだけ切り取ればいい話だけど、結果的に増えた【雪男】、【雪女】が狙われるんだから、本の彼女たちも手放しには喜べないよね、でも彼女たちのおかげで雪乃と出会えたから俺は感謝してるよ……ついた、ここが白魔さんの言ってた孤児院で合ってる?」
本日の任務は、『孤児院の子供たちと交流を深め、信用を得る』というものだ。
これも白魔さんなりの優しさで、ハクトとリアにはボランティアのような任務を積極的に振っている。
「お二人が本日、みんなと遊んでくれるハクトさんとリアさんです!」
「えっと、ヒイラギ・ハクトです!本日はよろしくお願いしましゅる!!………」
「こんにちは~♪」
噛んだ。
盛大に噛んだ。
リアの声がいつもより高いのは、俺が噛んだのを見て聞いて、母性を感じているからである。子供たちをちゃんと見なさい。
「はくとおにーちゃん!だっこして~!」
「え~、オレたちとサッカー?しようぜ!ニッポンのブンカだってセンセーがいってた!やってみたい!」
「…おままごと、したい」
数十分も経てば、俺とリアの立場は逆転した。最初こそ大人気だったリアも、俺以外の男(4歳くらいの男の子)に話しかける際、言葉の端々に宿る苦手意識(超毒舌)のせいでどんどん離れていった。今は子供たちに囲まれる俺に羨ましげな、悔しそうな表情を向けている、申し訳ないがちょっと可愛い!
「あはは、そうだな~、なら君たち全員を驚かせる手品をお見せしよう!」
膝を曲げ、子供たちと同じ目線で話すハクトを、リアはジッと見つめている。
(………グフッ、可愛すぎますよハクト君!!元々女の子のような幼い顔立ちですが子供たちに向ける優しい表情!私たちに向けるものとはまた違った味!白米30杯は余裕でいけますね!もし余ったらサラちゃんにでもあげましょう、そんなことよりハクト君可愛い♡今は私がハクト君を独占できる時間、堪能したいですがなるほど、他者と関わることでしか得られない栄養があったのですね!あ、オーラでネコちゃんの形作ってる可愛い♡♡子供たちに褒められて照れてるハクト君も可愛い好き愛してる♡♡♡♡♡♡♡♡)
これである。
ハクトに救われたあの日から、リアのハクトに対する好感度は爆発した。
元々カンストしてた好感度があの時のハクトの言葉で、行動で上限が破壊された。
好感度を示すパラメーターから、ドロッドロに愛が溢れ出している……。
嫌でも気づく熱視線を感じながらハクトは―
(…愛されてるよな~、恥ずかしい)
子供たちの相手をしながら、リアの愛情に気づかないフリをする。しかし、リアにはお見通しのようで、天使の笑顔ではない、恋する普通の女の子の笑みを隠すことなくハクトに向けるのだった。
ハクトとリアのその後―
―信用を得るために任務をこなすのは表向き(ハクトは真面目に取り組んでいる)
二人きりなのをいいことに、思う存分ハクトを独占し、イチャイチャしている。
「アイツら…当分は椿の仕事も手伝わせるか」
すごいイチャイチャしていると、楽しそうに連絡してくれた先生にも、思わず頭を抱えてしまう白魔、しかし、少しずつ信用を得ている2人の活躍に笑みを浮かべるのだった。
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