第2話 アイドルオーディション

 喧嘩をしている二人の様子を見ていると、ふと目があってしまった。少し気まずい時間が流れている。喧嘩はぴたりと止み、皆んなが私達に注目している。

職員さん達に促されてようやく時は動き出した心地だった。

「はーはっは!!!私の時代だああああ。」

咲はまつ毛が綺麗でクリクリっとしてる目を光らせて黒髪のサラサラストレートの髪を靡かして突然叫んでいる。めちゃくちゃ怖い…。

「ユキ!!負けねえから!」

かつての親友はニッコニコのダッシュで学園に突進していった。ハルトは私に微笑み跡を追いかけた。

受験会場には、書類審査、難関の学力テストを無事終えた人々が集まっていた。

学園長はあの大人気スター、坂城麗華。

ここにいる全員が、この学園の最も人気な学部アイドル学部に受験しにきた。

「絶対受かってやる!」とメラメラ闘志を燃やす。

第一次オーディション。

歌唱力、始まると次々に歌っていく。

アイドルになりたい気持ちなんて絶対負けない。

「アヤカさんに、全てを捧げるつもりで歌います、聞いてください!」

元気いっぱいに、ニコニコスマイル!皆んな私のファンになれよ。

一人の審査員は、呆れた顔をして、一人の審査員は私から目を逸らした。

アヤカさんへは、暗い曲なんて聞かせてやらない。クソほど明るい曲を選んでやった。私が作曲したあまりに下手くそな曲をアレンジしたものだ。

そんな強い意志で臨んだ。

「って、てめえ!!」一人の審査員が椅子をぶん投げ、もう一人は爆笑している。

絶対、この意思が、この心が、アヤカさんにとどくように!!

「大好きだって!愛してるって!伝えるから!」

このセリフのため、私は歌った。審査員も少し納得した表情で椅子に座った。


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「…ありがとうございました!」

ご清聴はしてくれなかったみたいだったけど。

「スキルはいいね。」サングラスマスクの優しそうな審査員は微笑む。

「お前、信じらんねえ、アヤカに捧げる曲があのお気楽ソングだって!?」

「はい!」

「何故だ!」

「ファンを喜ばせるのは当たり前です、あの曲はアヤカさんの好きな曲ですから。」

黒髪ロングのマスクグラサン2は困惑している。

「…知っている、はあ、お前か雪とかいうのは…。」

沈黙が続く。

やっとこちらをしっかりと捉えて審査員は「まだ荒削りだが伸び代はあるだろう。」と言ってくれた。

めちゃくちゃ嬉しかった。

「あ、ありがとうございます。」

私は浮かれた気持ちのまま、ダンスオーディションに向かうのだった。

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「彼女の歌、良かったよね。」

「…はあ…実力は確かにある、あれを作詞したのはもう素晴らしいが、もし審査員がおれらじゃなかったら…。」

「うん、あの子のスター性は煌めかなかったろうね。」

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