新星、幼馴染とアイドルをするために、スターになります!
@shiy
第1話 新星達
この世界は自分のアイデンティティーを広めるためにアイドルになる。
農業家、新聞記者、学校の先生。
そんな誰でもなれる職業だけれど、アイドルに命を燃やす者もいる。
その者達が集まり支援を受ける学園、ライト学園。
受け入れる原石は多くなく、ほんのひと握り、そこで最大限の援助をして才能あるものを見つけ出す組織。
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小学4年生の冬、失恋した。
初恋のお姉ちゃん、幼馴染でもあるアヤカお姉ちゃん。
『スカーレット、のメンバー芸能界引退。』大々的に放送されたそれは私だけではなく数多くの人間がそのニュースに釘つけになった。
絶望した、ダンススクールも休んで、休みすぎた。大事な友達を一人失って。
『私は一人でトップになる。』そんな置き手紙を残して。
気持ちのいい朝の日、冬の寒さに凍えながら幼馴染と試験会場へ足を運んでいる。
「さすがのお前でもよでもよ、緊張くらいしてきたんじゃねーんすか。」
「緊張なんて言葉を使うな、緊張するでしょ。」
「…聞いたか、スカーレット、芸能界引退だとよ」
「…らしいね。」
世間を大いに賑わせて、熱狂させてきた二人組ユニット「スカーレット」
私は元大ファンだった、カイトはそのことを知っていた
だが、今の私達にそんなことを気にしてる余裕など一ミリたりともない。
カイトは励まそうとしてくれるのか口を開いた、そんな時私達二人にある人からの応援メッセージが送られてきた。
お世話になったレッスントレーナーさんからのメールだった。小学校一年からレッスンしてくれていた先生で厳しくもあり優しくユーモアもあり大好きだった。
そして応援の言葉が『アイラブユー』なんて、ものすごく彼女らしくて吹き出してしまった。
「カイト、私が天下をとるよ。」
私は自分の頬をぶっ叩き、お前は他人の心配をしてる暇などあるのかと、問いかける。
それに応えるように、カイトは歯を見せてニヤリと私に微笑む。
都内にある、中高一貫の名門ライト高校。
まずは書類審査、ビジュアルは見られるがライト学園はあくまで実力主義、次に学力試験学問もできなければ落ちる、そして歌、ダンスの披露。
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物凄い人の数、みんな小学生とは思えない顔つきに圧倒されそうになるが、私もカイトも落ちる気などもっぱらない。
だが、その中でも群を抜いて目立っていたらしい人間がいて、周りが騒ぎ立てるどちらかと言えば悲鳴に近い。その空気に飲まれたくないので見ないふりをした、レッスントレーナーさんとの最後の約束。
こんな雰囲気は、苦手だ。どんなビジュアルや話題性を持っていようがこの学園は実力主義だと教わってきた、この学園に挑戦する者達全て。カイトが興味深く凝視していたので、すごく気になってしまった。
「おい…あれ見ろよ」カイトが深刻な顔で私に言う。
「何?」カイトもそこまで場の空気に飲まれる方ではない。
気になってしまったのは仕方ないと思い、渋々顔を向けると、そこにはこの会場の誰にも負けていない絶世の美男美女がいた。
問題はそこではなかった。
「え…さき?」そこにはかつての親友がいた。
だが、もう一人、咲の隣にイケメンの男…ハルトがいた。
ハルトとも同じダンススクールだったが私が休んでる間に咲と共に居なくなった、でその二人は…今、何故だか本当にわからないのだけれど大喧嘩している。
ハルトが一方的にどかーーんと言われてる気もするが。
そこに割って入ろうとする、かつてのハルト親衛隊の団長、同じダンスチームだったのに離れて悲しいようだったので何としてでもハルトと話したいんだろう。
私はそんな喧嘩の様子を見ていた。その時にふとさきの目線がこちらを捉えて、なんとも言えぬ表情で、一言、「ゆき」と呟く。
しんしんと降る雪、ハルトもこちらを捉えていた。
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