愉快犯な神様は異世界を混沌に過ごしたい Re:めいく!

永久の初心者🔰

転生と狂気の世界と初めまして!

プロローグ

辺りには化け物の四散した肉片が所々に飛び散っていて決していいながめとは言えなかった。

しかし、目の前にいた少女の周りだけがまるで光り輝いてるみたいにその少女の存在を明るく照らし出していた。

その姿は後ろ姿とはいえ華麗で優雅で美しくて....異様だった。


「あなたは....何者なんですか? 」


得物えものである学園支給の刀を未だ後ろ姿の少女に切っ先を向けがっしりと構える。

身体が震えてるのを悟られてはいけない。これは虚勢きょせいだ。

さっきの化け物との攻防とすら言えない一方的な虐殺を見て力の差を感じない程、僕も世間を知らないわけじゃない。

最優先事項はアリスと一緒にこの森から逃げること。僕の抵抗は意味なく終わるだろうがアリスには絶対に手を出させたりしない。

後ろで気を失っている幼馴染の姿を確認しながら少女から視線を外さないように一挙手いっきょしゅ一投足いっとうそくに目を光らせ警戒を強める。


「え....」


少女は振り向き目を丸くしていた。まるで有り得ないものでも見るように....


でもそんなことに僕は気づかなかった。

否、気づけなかったのだ。

桜のような綺麗なピンク色の髪、ふわふわとした狐のような尻尾と耳、歳は同じくらいだろうか?種族が違うだろうから一概いちがいに同い歳と決めつけることもできないが....でも一つだけ言えることがあるとすれば少女が放つ圧は種族の違いで表せるようなものではなかった。

頭には狐をかたどったお面を下げていて神秘的な印象を助長させていた。

着ている服は東の国の着物....だっただろうか?

学園の授業でうろ覚えな知識を引っ張り出す。

ここの森は学園の管轄区域だ。命の恩人とはいえ学園の学生と許可を得た冒険者しか入れないこの森に侵入している密入国者の可能性がある彼女をみすみす見逃すこともできない。


しばらく彼女と僕が見つめ合う不思議な時間が続いた。少女は急にバッと後ろを向いたかと思うと小さく独り言のようになにかを喋ってこちらをまた向いた。

その瞳にはなにやら決意のようなものが宿っていた。


「また相見えることになるだりょッう」

「ま、待ってください! 」


少女はそれだけ言うと見たこともない魔法陣をくぐって姿を忽然と消した。


「噛んだ? ───いや、そんな訳ないか....一体何者なんだ....」


後ろで倒れているアリスを抱き起こして担ぐ、意識を失っている人は思ったより重かった。


─────────────────────


「ミスったぁ──────!しかも噛んじゃったしぃ....死にたい。誰か私を殺せぇえ!」


その頃少し離れた場所で少女は顔を真っ赤にして恥ずかしさに悶えながら森の地面を転げ回っていた。

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