第7話 さらなる奇跡
歩いているとき、私はアルスに声をかけた。
「そうだ。村人達に声を掛けに行くついでに、ちょっとこの村の広場まで案内してくれない?どんな感じの村か、知っておこうかと思って。」
「わかりました。こっちです!」
彼に案内されるがまま、ついて行くとやがてこの村の広場に着いたが何だか様子がおかしかった。人集りが出来ていたのだ。
「何だか、様子が変よ?何でか分かる?」
「ううん、さあ?今日は何もなかったはずだけど…ちょっと聞いてくるね。」
そう言うと、たたたたっと人集りまで走って行った。そして、焦った声が聞こえてくると思ったら、血相を変えた顔で踵を返して戻ってきた。
「……ソナスさん!大変なんだ!村の外に狩りに出ていた人達の一人が魔物に襲われたらしくて大怪我なんだ!ソナスさんなら治せる?!」
「少し落ち着いて。まあ、直せるよ。直ぐなら死んででもね。さあ、行きましょう?早いほうがいいし。」
私はアルスと一緒にその怪我をした人に近づく。やがてその怪我をした人が見えてきたのだが…酷いものだった。足は無くなり、腹はぐちゃぐちゃになっていた。生きているのもやっとだった。
「さあ、始めるね。」
律歌を響かせる。アルスのお母さんにしたのとは違うもの。アレは病気を治すものだったが、これは外傷を治すもの。その中でもこれは最上位に位置するものだった。
「すごい…」
周りを囲んでいた村人の誰ががそう零した。一人、また一人と膝をついていく。そして、村人の身体が完全に治った時、立っているのは私と、私の横に居たアルスだけだった。
「あの…」
膝をついている村人達の奥から一人、老けた男性が歩み寄ってきた。
「村長だよ。」
横にいたアルスが私に、そう教えてくれた。
へぇ、この人が村長か。ここからが大事。
「はじめまして、村長。私はソナスと言います。どうぞ、お見知り置きを。」
「は、はあ。ご丁寧にどうも。儂はこの村の村長。この村の村人を救ってくれてありがとうございます。」
そう言いながら深々とお辞儀したあと、私に質問をしてきた。
「失礼じゃが、何処からここに?何の用で来たのだろうか。見たところここらの人じゃないようだし…」
「ああ。私はあの遠い山の方から来ました。この近くの森でアルスと会って。お母さんを治療して、この村に滞在したく思っていたところで、この騒ぎで。」
「おお!そうでしたか。それなら空き家があります。それを使ってはどうでしょうか?」
「あら、いいんですか?それならお言葉に甘えて。あ、自分で改造をしてもいいんですか?」
「どうぞどうぞ!お好きになさってください。貴女には村人の命を助けて貰いましたからなぁ!」
それだけじゃないな。薄っすらだが、信仰が生まれている。ふふふ。どうやら上手くいってるなぁ。
「では、案内して貰ってもよろしいですか?」
「勿論です!ささ、こっちですじゃ。」
村長について行くと、そこは村の外れに近い小高い丘の上の比較的大きめの家が建っていた。
「ここには三年ほど前まで人が住んでいたのですがのぉ、引っ越してしまったのですじゃ。この村に通っている街道をずっと行くと都市がありましてな、そこにじゃな。ああ、これが鍵です。それでは。」
村長を見送った後、家の中に入った。
「図らずしも、拠点も手に入ったし、ここから信仰を広げていく。とりあえず今日はゆっくり休もう。」
久しぶりのベッド。私はあっという間に夢の中へと行ってしまったのだった。
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