愛しのクイーンルージュへ

深海

プロローグ 懐かしい思い出


 これは、とお過去かこ記憶きおく


 つめたいあめほほたりなみだようほほつたう。午前ごぜんちゅうだが、くろくもおおきくひろがり、さえぎよるのようなくらさだ。二人ふたりかさし、祖母そぼ墓石はかいしまえ呆然ぼうぜんたたず叔母おばと、おさな少女しょうじょエクレール。

 天気てんき黄昏たそがれどきには、夕日ゆうひりとてもうつくしい霊園れいえんなのだが、そのれる気配けはいはなく轟音ごうおんつづけた。


 すると、芝生しばふうえ革靴かわぐつあるおとこ一人ひとり、エクレールの真横まよこまった。かさごと見上みあげるとなりをととのえた見知みしらぬ紳士しんしがいた。おたがいに言葉ことばず、なが沈黙ちんもくつづくと叔母おばくちひらいた。

「あの、どちらさまでしょうか。」

 すると紳士しんしくちひらく、

わたしは———」


 


 まばたきをすると場面ばめんわった。

 エクレール!!ととおくからこえ金髪きんぱつ少女しょうじょってくる。さきほどよりすこおおきくなったエクレールは、大木たいぼくしたあしばしてすわり、あしうえほんひろげている。あのほんつづきをおしえて‼︎と少女しょうじょほんのぞむ。じゃあ今日きょうは…とページをめくる。

今日きょうは、主人公しゅじんこうのレディベロアがクイーンルージュをたすけるおはなし。」



 

 まばたきをするとまた、べつ場面ばめんわる。

 怪物かいぶつたたかっている戦闘中せんとうちゅう金髪きんぱつしろいドレスを女性じょせいあお大剣たいけんってたかいところでかんでいる。

「レディベロア—————!!!!!!!」

 とさけんで緑石りょくせきいたながつえをこちらにげてきた。金髪きんぱつ女性じょせいげた直後ちょくごてきからの攻撃こうげき地面じめんたたきつけられる。

「クイーンルージュ‼︎」

 という言葉ことばが、意図いとせずくちからはっせられる。女性じょせいは、心配しんぱい無用むよう、それよりたたかいに集中しゅうちゅうしろ。とくちパクでつたえてきた。


 


 なつかしい記憶きおくだ。おもすとたのしくなって、よりふかおもこしてしまう。

 とても心地ここちよいかぜほほでる。昼下ひるさがりのいた日差ひざしが、より心地ここちよさを倍増ばいぞうさせている。木陰こかげかれたベンチでひとやすみしているが、うたたしてしまいそうだ。芝生しばふうえをサクサクとあるき、ちかづいてくる足音あしおとます。

「おたせ。」

 金髪きんぱつ彼女かのじょ両手りょうてにドリンクをっている。彼女かのじょは、

「ルヴィ。」

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